私たちは日々、時間の中を生きています。例えニュートン力学や相対性理論について詳しく知らなくても、私たちは時間がさかのぼらず、地球上で暮らしているすべての人に平等に、同じ速度で流れることを知っています。

しかし、もし、時間を操ることができたら、私たちはどんな願いを叶えるでしょうか。時間を操作できる不思議なゲームを3つ紹介しましょう。

時間の中心はあなた


まずは、「Time Locker」です。多角形で描かれた動物やドローンなどのキャラクターを動かして、前方と左右から現れる敵や障害物を壊して進むシューティングゲームです。

始めてすぐに、この世界の物が動くスピードを決めているのはあなた自身だと気づくでしょう。あなたの動きと同じ速度で、敵や障害物が出現するからです。

もしもあなたがゆっくり進めば、それらもゆっくり視界に現れます。ですが、速く進むと、画面上に突如それらが姿を現わすため、回避できず、衝突してしまいます。時間の流れる速度をうまくコントロールしなければなりません。

ゆっくり動いて、敵や障害物が出てくる場所を確認しながら前進する、そうすれば衝突を避け、正確に攻撃できます。ならばゆっくり動きさえすればこのゲームの勝者になれるのか、というとそんなに簡単ではありません。

なぜなら、完全に時のルールから解放されているわけではないからです。後方から静かに黒いブロックがあなたの操作するキャラクターに迫ってきて、追いつかれると破壊されてしまいます。動きのスピードを巧みに調整しながら、同時に制限時間も計算に入れて動く。時を操るセンスが求められます。

過去を積み重ねて未来を作る

次のゲームは「Causality」です。英語で「因果関係」を意味する名前のゲームだけあって、このゲームでは宇宙飛行士をゴールに導くという「結果」のために、いかに「原因」を操作するかがポイントです。

真っ直ぐに前進する宇宙飛行士の行く手には、方角を変えるパネルやタイムマシーン、そしてモンスターが待ち受けています。パネルを動かして、宇宙飛行士をゴールに導きましょう。複数の宇宙飛行士が同じルートを別々のタイミングで通るようにするなど、導線の順番をよく考えてパズルを解いていきます。

ゲームの鍵となるのは、時間の巻き戻しです。パネルをいくら操作しても、宇宙飛行士をゴールに導けない場合は、時間を巻き戻して、もう一度パネルを操作し直しましょう。その時に、時間を戻す前に自分がどうパネルを操作したのかを思い出してください。なぜなら、今、あなたが操作したパネルに加えて、時間を巻き戻す前にあなたが操作していた宇宙飛行士の過去の動きもまた、現在の宇宙飛行士をゴールに導くための動きの「原因」となるからです。

過去と現在の宇宙飛行士の動作が同じ時間軸で行われることで、うまくパズルが解けてクリアできる場合もあれば、過去と現在の動作が衝突してしまうこともあります。過去と現在の導線を同じ時間軸で考えないと解けないという不思議なタイムパズルを体験できます。

何度やり直せば幸せな結末
に辿り着くのか?

最後の「ライフ イズ ストレンジ」は事件の謎解きをしながら、運命を選択するアドベンチャーゲームです。主人公の女子高生マックスはある日、少しだけ時間を巻き戻せる能力を身につけます。

マックスの会話や行動を選択することでゲームが進みます。少し内気な女子高生のたわいない日常生活だった物語は、トイレでの衝撃的な事件をきっかけに急展開します。しかしあなたが本当に驚くのは、過去に戻って事件を解決させた後、再び現在に戻った時でしょう。

カオス理論で「バタフライ効果」と呼ばれる概念を時間に当てはめた現象がゲームの中で繰り返されます。つまり、小さな過去の改変が未来を大きく変えるのです。その時、選ぶべきハッピーエンドはどれなのか。ゲームオーバーのない本作は、あなたに究極の問いを突きつけます。

3つのゲームに共通しているのは、例え時間を操れたとしても、私たちは常に過去、現在、未来に対して複雑に影響を与え合っている、という事実です。流れ行く時を止め、巻き戻し、やり直したとしても変わらないこの世界の暗黙のルールにどう挑むか。ゲームはそんな不思議な体験をもさせてくれるのです。