私たちの体は、有機的に連動する無数の組織から成り立っています。それは、まさに宇宙にも匹敵する、不思議で神秘的な世界といえるでしょう。

人体について考えるとき、学校の生物の授業では、比較的人間と体の仕組みの似ているカエルが取り上げられます。恐る恐るカエルの解剖に取り組んだ記憶がある人もいるかもしれません。

現在では、テクノロジーによってカエルの観察や解剖が手軽かつバーチャルに行えます。「Froggipedia」なら、Apple PencilやAR(拡張現実)を活用して、様々な角度からカエルを観察したり、成長の過程をたどったり、仮想的に解剖したりできます。

「『Froggipedia』を使っていると、自分が動いて、様々な角度からカエルを見たくなるんですよね。例えば『5分間、好きなように観察してください』と言うと、それぞれの視点とペースで、いろいろな見方をすると思います。子どもたちの興味や関心にあった観察ができるので、そこがいいなと思いました」

このように話すのは、大阪の私立中学校で教鞭を執る岡本竜平先生です。テクノロジーを活用した新たな教育方法を提唱するApple Distinguished Educatorでもある岡本先生は、中学2年生の生物の授業に「Froggipedia」の導入を試案するなかで、大きな有用性を感じました。

「これまで解剖の手順を伝えるのに、非常に手間がかかっていたんです。生徒たちにはもっと観察や作業に没頭してもらいたいのですが、説明に時間を取られてしまって。『Froggipedia』では、切る手順や切り方も正確に確認でき、解剖をバーチャルに体験できるのがとてもいいと思います」

「Froggipedia」は、それぞれの視点とペースで、子どもたちの興味・関心にあった観察ができるのがいいと思います

岡本竜平先生

初めて「Froggipedia」に触れた生徒からは、感嘆の声が上がったと岡本先生は言います。

「最初に僕が『Froggipedia』のARを試していると、何人かの生徒が寄ってきてくれて。すると、『うわ、ホンマにカエルがおるみたい!』って。ARで血管や内臓が見られ、360度から観察できるので、そういうインパクトは大きかったみたいですね。すごいリアルだって驚いていました」

「Froggipedia」では、メスやピンセット、ハサミの代わりに、指やApple Pencilを使って擬似的にカエルの解剖を体験できます。皮をはぎ、筋肉を切開して体腔を露出させ、それぞれの臓器の形や位置関係を観察できます。生き物が苦手な人でも抵抗なく取り組める利点がある一方、岡本先生は「実物に触れる」こともまた大切だと指摘します。

「こういうバーチャルな体験があることで、リアルでしか体験できないことがより明確化されると思います。生き物の生々しさがより浮き立つというか。大きさとか、感触とか、においとか、そういうものはリアルでしか感じられないので、リアルなものに触れてもらうことも個人的に大事にしています」

バーチャルな体験があることで、リアルでしか体験できないことがより明確化されると思います

岡本竜平先生

「Froggipedia」同様、ARや3Dモデリングを活用して、人間の臓器や骨格、筋肉や血管などをくまなく観察できるのが「ヒューマン・アナトミー・アトラス2019」です。体の部位ごと、あるいは循環器系、神経系など、器官別に表示でき、アニメーションでそれぞれの働きを確認できます。その充実した資料性とリアルな描画には、岡本先生も感銘を受けたと話します。

「中学や高校の生物の授業で、大いに役立てるのではないかと思います。男性と女性の違いも表現されているので、例えば男女の骨盤の違いを観察するといった使い方がいいかなと思いました。赤血球や白血球の働きとか、目では見えない世界をイメージで見せてくれるので、とてもわかりやすいですよね」

「優れた教材は、自分でどんどん深いところに行くことができるものだと思うのです。ここが見たい、ここをもっと知りたいと思った時に、それに応えてくれる教材に本当の価値があります。『Froggipedia』や『ヒューマン・アナトミー・アトラス2019』は、まさにそれができると思います」

かくも精巧緻密な人体の仕組みを目の当たりにすると、普段は当たり前に感じている自分自身の生命が、ほとんど奇跡のように思えるかもしれません。ご自身ではもちろん、お子さんのいる家庭では、ぜひ一緒に「Froggipedia」や「ヒューマン・アナトミー・アトラス2019」を使ってみてください。驚いたり、おののいたりしながらも、目を輝かせて生命の神秘を感じ取れることでしょう。