MEET THE DEVELOPER

産地を元気に

「さんちの手帖」が日本のものづくりシーンを盛り上げる。

さんちの手帖

旅のおともアプリ

表示

日本では古くから、伝統工芸などの「ものづくり」の精神が各地で受け継がれています。それが、近年の「日常に少しいいものを、少しいい体験を」というライフスタイルの文脈から、再び注目されるようになってきました。

ここでご紹介する「さんちの手帖」は、日本の工芸にフォーカスした読み物のコンテンツが楽しめるAppです。積極的に「ものづくり」の現場を取材し消費者に伝えていく、という彼らの姿勢からは、何か強いメッセージを感じます。彼らはこのAppを通じて何を実現したいのか、そして、日本の「ものづくり」をどのように捉えているのでしょうか。

今回、「さんちの手帖」を運営する、株式会社中川政七商店の緒方恵さん(執行役員)、西木戸弓佳さん(メディア課)にお話を伺いました。彼らの「ものづくり」に対するビジョンを解き明かします。

まず初めに「さんちの手帖」をスタートさせたきっかけを教えてください。

緒方さん(以下、緒方): 弊社「中川政七商店」は享保元年(1716年)に創業し、今年で301年、今の社長が13代目となります。創業以来、手績(う)み手織りの麻織物を扱っています。私たちのように、長くものづくりをされている方は多くいますが、マーケットはどんどん小さくなっています。さらに、産地や職人は、品質を伝えにくいというのが現状です。その状況を変えるべく、13代目の現社長が、産地や職人はOEM的に仕事を請け負うだけではなく、ブランドを持つことで前に立てるのでは、と考えました。

従来のものづくりの現場には、それぞれの工程に職人さんがいらっしゃいます。もし、ある工程の職人さんがリタイアされると、全体の生産が回らなくなり、プロダクトそのものを作り続けることが不可能になります。分担されている作業を、どうにかして統合できないか、市区町村と一緒に模索しています。

私たちは「日本の工芸を元気にする」をビジョンに掲げています。全国の産地にノウハウを提供して、日本の工芸シーンを元気にするべく、日頃から取り組んでいます。「さんちの手帖」もその中の活動の一つとして始めました。

「さんちの手帖」について、取り扱っているトピックや、このAppを通じた体験について教えてください。

西木戸さん(以下、西木戸): まず、私たちのAppを通じて、「工芸は面白いもの」ということを感じてもらいたい、と考えています。ものづくりの現場には必ずストーリーがあって、それを知ると工芸に対する見方や価値観がきっと変わるはず。ですので、まずは誰にでも興味を持ってもらえるよう、入り口をライトにすることを心がけています。

トピックの選び方としては、「上品さ」「軽やかさ」「アカデミックさ」の3点があるものを選んでいます。「軽やかさ」というのは、私たちは工芸やものづくりを広いものとして捉えていて、人の手が入っているものはすべてその枠に入ると考えています。なので、従来の工芸の定義を超える「軽やかさ」を重視しているということです。工芸を深く知っている人目線で語ることを大事にしているので、「アカデミックさ」を3点目に据えています。

緒方: 私たちにとってこのサービスは、まずユーザーの皆さんに愛着を持ってもらう必要があると考えています。細かいところまで私たちの思いを込められるので、ウェブではなく、Appという形をとっています。さらに、「さんちの手帖」には、ガイドブックのように使える「旅印」機能があリます。

私たちのAppは、ユーザーの皆さんがコンテンツに触れてから、実際に産地に訪れてもらうまで、トータルでサポートできるものであるべきだと考えています。

取材を通じて、心に残っているエピソードはありますか。

西木戸: 取材で出会ったブランドや産地、職人さん全てに思い入れはありますが、その中の、「包丁工房タダフサ」さんのお話が特に心に残っています。初めてお目にかかった時は、どんどん業績が悪くなっていく中でしたが、彼らのブランドや代々伝わる技術をちゃんと知ってもらうことで、今では2年待たないと包丁が手に入らないほどにまで変わりました。タダフサの社長さんが、「うちの会社は変わった。小さい頃は継ぐのがすごく嫌だったけど、本当に継いでよかった」とおっしゃっていて、思わず涙ぐんだことを覚えています。私たちの役目は、日本の工芸を元気にした上で、そこに携わる人や住んでいる人も同時に元気にしていくことなんだと、再確認しましたね。

緒方: ユーザーの皆さんが「さんちの手帖」を通じて、日本のものづくりや職人文化を再発見し、実際に触れる、体験する、そしてその先の「移住する」、という流れを作り出してくれると嬉しいですね。

お二人の好きな工芸品について教えてください。

緒方: 「鯖江の漆器」ですね。漆器と聞くと、漆が厚く塗られた高級な食器、というイメージがありますが、本来、漆は器の補強のために使われていました。厚く塗られていないので、木目が見えるものや、カラフルなものなど、彼らは今までの漆のイメージをガラッと変えることに成功しました。

西木戸: 私は「長崎の波佐見焼」ですね。もともと、有田焼の下請けだったのですが、彼らには技術があり、独立しても自分たちだけでいいものを作ることができたのです。そのような背景から、ブランドとして波佐見を出していくことになりました。下請けではなく彼らのブランドなので、いい原価率でのものづくりが可能になりました。それがきっかけで、先方の社長さんは今、波佐見をもっと元気にするために、旅行者や移住者を集めようと活動されています。

「さんちの手帖」の今後の展望や思いについてお聞かせください。

緒方: 中川政七商店では全国の産地とタッグを組み、「大日本市博覧会」と銘打った、実際に消費者の皆さんが工芸に触れられるイベントを開催しています。今後は「さんちの手帖」においても積極的にイベントを開催していければと思っています。

緒方: 繰り返しになりますが、Appで工芸へのタッチポイントや、人と人とのつながりを創出して、そこからツアーなどのリアルイベントで工芸に触れてもらい、さらに購入までつなげる。そしてその先に、「移住」を検討してもらうのが、私たちの最終的なゴールです。行動を起こすことで、日本の「ものづくり」はもっと盛り上がりますし、今それが起こりつつあります。そんな未来を見据えながら、一歩ずつ前進していければと思っています。

    さんちの手帖

    旅のおともアプリ

    表示