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壮大な物語を手のひらの中に

「ファイナルファンタジーXV ポケットエディション」の体験。

ファイナルファンタジーXV ポケットエディション

モバイルにおける最高のRPG

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常に最先端のRPG体験を追求してきた「ファイナルファンタジー」シリーズ。30年の歴史と、数多くの作品を通して、そのゲーム性、グラフィック、そしてストーリー性は進化を続けてきました。

今回iOSでリリースされた「ファイナルファンタジーXV ポケットエディション」は、シリーズの新たな進化の方向性を感じさせる作品です。オリジナル版のストーリー性と、「仲間との冒険」というテーマはそのままに、直感的な操作性や、デフォルメされたキャラクターデザインなど、まったく新しい体験に仕上がっています。

家庭用ゲーム機向けのオリジナル版と並行して開発されたという「ポケットエディション」。その体験をどのように作っていったのかを、「ファイナルファンタジーXV」の統括ディレクター(リリース当時、現在は退職)、田畑端さんに伺いました。

なぜ今回、モバイルでも「ファイナルファンタジーXV」をリリースしようと思ったのでしょうか?

最大の理由は、みんなの一番身近にあって、自分も一日でもっとも触れるハードウェアを考えたときに、iPhoneだったからです。

2013年に僕がiPhone 5を使っていたときに、iPhoneはすでにゲームのプラットフォームとして成り立っていました。iPhoneでしかゲームを遊ばないという遊び方が一般化していました。そのときにはもう明確に、モバイルでも出すべきだと考えていました。やはりプラットフォームが多様化するのに合わせて、自分たちのゲームも多様化しなければいけない。純粋にそこですね。

一番身近なデバイスで、日常の中で自然に自分の時間を使いながら遊ぶ、というスタイルを、「ファイナルファンタジーXV 」でも作りたかったのです。


「ポケットエディション」での最終的なプレイスタイルに落ち着くまでに、どのような試行錯誤があったのでしょうか?

最初に開発チームにお願いしたのは、とにかく「ファイナルファンタジーXV 」そのものをサクサク遊べるようにすること。オリジナル版と同じことすべてをiPhoneでやろうとしても、必ずしも面白さにはつながりません。なので、何を残して、何を削る、というのはチームで考えました。それで最初にやったのがバトルのオート化です。

でも、「仲間と旅をする」というゲームの本質は同じです。RPGには、戦いやキャラクター育成などの要素がありますが、そうではなく、日々の戦いが旅の思い出になる、というのが「ファイナルファンタジーXV 」で一番大切な要素なんです。それを実現できれば良いということで、オートバトルを採用しています。

本作のテーマは「仲間との旅」。ゲーム性が変わっても、作品の本質は同じです。

画面上にもボタンなどが一切なく、直感的に遊べるのが印象的です。

そこはかなり初期から考えていました。コントローラーで遊ぶゲームを、完全に作り変える。リメイクするくらいの感じでやっていました。

唯一、「シフト(戦闘中のワープ)」だけはできるようにすることで、アクションのアイデンティティは残しています。


「シフト」はスワイプ操作と非常に良くマッチしていますね。

僕も触ったときにとても気持ちよく感じました。

ゲーム性の変化も含めて、iPhoneでいかにオリジナル版の面白さを再現できるかを、一度徹底的にテストしてから開発しました。それができてから、メカニズムは違うけど、これは「ファイナルファンタジーXV 」だという手応えを感じました。どのようなメカニズムにするかと、どのようなビジュアルにするかを含めて、テストには9か月くらいかけましたね。

パーティで戦っているときに連携できるところなど、ちゃんと「ファイナルファンタジーXV 」になっていると思います。


グラフィックスタイルを変えることに関して試行錯誤はあったのでしょうか?

iPhoneで「ファイナルファンタジーXV 」を遊ぶなら、どういうビジュアルがいいのか、ということを考えました。

最初は、イメージの共有もしやすいので、「ファイナルファンタジーVII」くらいの時代の、ローポリゴンのスタイルでテストしました。でもこれだと、かつての「ファイナルファンタジー」を知っている人たちには届くかもしれないけど、知らない人たちには価値が伝わらないんじゃないかと考えました。なので、今の若い人たちがもう少し好みそうなアートスタイルにした方が良いのではないかという意見から、最終版に近い、もう一つのアートスタイルが出てきました。

開発初期にテストされた、ローポリゴンスタイルのキャラクターデザイン。

客観的なデータが欲しかったので、二つのスタイルを世代ごとにモニターテストしました。30代と40代の方は、前者の「ファイナルファンタジーVII」のスタイル、10代と20代はモダンなスタイルと、見事に結果が別れましたね。そして今回のターゲットはどこかを改めて考えて、10代、20代の方々に支持されたアートスタイルに決定しました。


最終的に決まったグラフィックのスタイルは、何がインスピレーションになっているのでしょうか?

「ファイナルファンタジー」をずっと知っている人ではなく、若いアーティストがデザインしています。

その人なりに「ファイナルファンタジーXV 」を、どういうデザインなら自分が好きになれるかを考えながらデザインをしてもらいました。チーム自体も若いチームだったので、その人たちが愛せるデザインにしていきました。


「ポケットエディション」を手がけたチームについてもお聞かせください。

(監修をした)本社のチームにはそれなりのベテランがいました。でも、最初のプロトタイプを作ったのは海外のチームだったのですが、みんな20代でしたね。今、一番遊んでいるゲームのハードウェアを聞くと、iPhoneと言うような人たちでした。

途中から開発チームは少し変わりましたが、そのチームもやっぱり若いですよね。そこでも意図的に、若くて元気のいいチームにやってもらうようにしています。若い人たちが嫌じゃないゲームにするために。


チームの若いメンバーから上がってきたアイデアなどはありましたか?

随所にありますね。オートバトルとか、そういう初期のアイデアはすぐに出てきました。

あと、若いチームは引き算がうまいですよね。家庭用ゲーム機で作ってきたチームは、体験を最大化させるために、ゲームデザインを積み上げていくんですけど、彼らは良い意味で割り切ってデザインしていきます。今回のアートスタイルも結構そうなんですけど。表現なんかも、思い出に残るところを良い風景にする、というメリハリのつけ方がすごい現代的だと思いました。

オリジナル版の劣化ではなく、どのような体験であるべきかを考えて、しっかりといいものにしています。

本作ではグラフィックのスタイルも一新されました。

今回初めて「ファイナルファンタジー」に触れるユーザーも多いかと思いますが、そういった方々に伝えたいメッセージはありますか。

iPhoneでゲームを遊ぶことは、何年も前から当たり前になっています。ですので、より多くの人に、「ファイナルファンタジー」のことを知ってもらえたら、と思います。

例えば、以前「Super Mario Run」がiPhoneでもリリースされましたよね。僕にも、当時7歳だった娘がいますが、それでマリオを初めて知っていました。身近な例ですけど、誰もが持っているデバイスでゲームを出す、そこで多くの人々にゲームを知ってもらう、というのは、作品にとってとても重要なことです。やはり、作り手としては作品について知ってもらいたいですから。