MEET THE DEVELOPER

歪んだ世界への挑戦

完璧な写真編集にかける一人の男性の強い情熱。

SKRWT

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iPhoneやiPadで写真を撮影した後、Appを使うとそれらの写真を簡単に編集できます。例えば、建築物を撮影した写真に特に見られる傾きや歪みは、「SKRWT」という歪み補正に特化したAppを使えば、より理想に近い写真に仕上げられます。

この「SKRWT」は、撮影から編集まで、「写真」という表現手法の可能性を追求する、一人のデベロッパによって生まれました。

「何もないところから、何かを作り出した時。自分の生み出したものに満足できた時。皆さんは、そんな瞬間に味わった興奮を覚えていますか? 私の人生は常に、ものを作り出すことへの情熱で満たされています」

「SKRWT」を生んだのは、オランダとの国境にほど近い、ドイツはゴッホを拠点にするフォトグラファー、Mathäus Jagielskiさんです。12歳の頃、ゴッホを始めとするヨーロッパの街中をスケートボードで走り出してから、自身でその様子を写真やビデオに収めるまで、そう時間はかからなかったと言います。

「周りの環境を使いながら、自分の体でクリエイティブに表現する。スケートボードの経験は私に大きな影響を与えました。この美学をフレーミングや編集を通じて、時間をかけながら写真やビデオとして表現するのです。その経験から、他のクリエイターたちが自己表現するための手助けになればと、自然に『SKRWT』のアイデアが生まれました」

「iPhone 4を使い始めた頃、その小さなデバイスの可能性に夢中になっていました。一つのデバイスで、気軽に写真が撮れ、編集し、それを共有できる。常に自分のクリエイティビティに挑戦できる環境を手にしたのです」

その中で彼は、建築物などを撮影した時に生まれる歪みの存在に気づきました。

「例えば、そびえ立つビルを地上から見上げるように撮影したとします。その写真は、ビルの上方ほど先細りした、台形のような形になってしまうでしょう。それは私が理想とする写真ではありませんでした。自分のイメージ通りの編集を加えるにはどうすればいいか。ならば、それができる環境を作る。その答えが『SKRWT』だったのです」

「SKRWT」。それは建築写真などに見られる、歪みや傾きを補正するパワフルなツール。

5分で思いついたという、「SKRWT」というApp名は「スクルート」と読みます。この名前には、彼の写真編集への思いが込められていました。

「何かを生み出したり、組み立てたりする時、『スクリュー(ネジ)』やボルトを使いますよね。それらを閉めたり緩めたり。それは、何か変化を生む際に経るプロセスです。さらに、英語で『Screw it』は、失敗して『もうどうでもいい!』と投げ出すような時に使う表現です。気になる部分は後で直せばいい。そして、『Screw』の『C』を『K』に変えて母音を取るという、ちょっとしたひねりを加えて、『SKRWT』に落ち着きました」

「SKRWT」内のエクステンションツール、「MRRW」「4PNTS」もまた、あなたの表現の幅を広げます。

「SKRWT」は、今までにないモバイルデバイスでの歪み補正の体験を、ユーザーに与えるものでなくてはならない。Jagielskiさんは、Appが彼自身の理想を叶える存在になるべきだと考えたのです。

「私が考える理想の歪み補正は、隅々まで綿密に編集が加えられているにも関わらず、編集されたことに気づかないようなものです。モバイルデバイスで、そのレベルの補正を可能にする、というのはすごく大きな挑戦でした。色やシャープネスの編集は、やり過ぎないことでより自然な編集にできますが、歪み補正はそうもいきません。手のひらサイズのスクリーンは、かえって歪みを強調してしまいますから」

何もないところから、何かを作り出した時。自分の生み出したものに満足できた時。皆さんは、そんな瞬間に味わった興奮を覚えていますか?

Mathäus Jagielskiさん

「SKRWT」は、リリース前からすでにテストユーザーの間で反響があったと言います。そのタイミングでJagielskiさんは、積極的にフォトグラファーに会い、様々なフィードバックを得た上で、Appをリリースしました。

「『SKRWT』をリリースしてから、モバイルデバイス上での従来の写真編集プロセスで意識されてこなかった『歪み補正』が、自然に受け入れられていったのはうれしかったですね。それに加えて、左右対称な構図を持つ建築物や空間写真の愛好家からなるコミュニティーが生まれたのも大きな驚きでした」

「SKRWT」の今後について、Jagielskiさんはこのように話します。

「私たちが手にできるテクノロジーは、日々進化しています。2019年になった今、『SKRWT』をどのように進化させるべきなのか。現在、私が考える高い精度の歪み補正に向けて、構想を練っている段階です。あくまで、ユーザーの一人として、『SKRWT』で得られる体験やデザインの視点から、Appの未来を考えるように心がけています」

自身が求める写真編集を可能にするAppを生み出したことで、多くのユーザーに編集の幅と楽しみを与えただけでなく、コミュニティーまで創出した「SKRWT」。構想からリリースまで4年を費やし、ほぼ一人で制作されたこのAppは、今後どのような進化を見せてくれるのでしょうか。その日が来るのを待ちながら、「何もないところから、何かを作り出す」その過程を楽しんでみませんか。