思い思いにApple Pencilを走らせて、桜の花びらや青空、そして意匠を凝らしたアルファベットを描いていく生徒たち。「Tayasui Sketches」のブラシツールを巧みに操りながら作品に向き合うその表情は、まさに真剣そのものです。
ここは、都内にある私立中学校の一室。この中学校では、生徒一人ひとりがiPadとApple Pencilを活用し、これまでにない、クリエイティブな授業に取り組んでいます。
その一例が、iPadとApple Pencilでのスケッチを取り入れた英語の授業です。生徒たちは物語を英語で読み、理解したことをスケッチとして表現していきます。2年生を受け持ち、テクノロジーを活用した新たな教育方法を提唱するApple Distinguished Educatorでもある和田一将先生は、クリエイティブなアクティビティを取り入れることで、生徒たちに目覚ましい変化が見られたと語ります。
「子どもは描くのが好きですから、モチベーションは全然違いますね。一番もったいないのは、英語に苦手意識を持って気持ちが離れてしまうこと。スケッチという要素が増えることで、それまで英語が得意ではなかったけれど、スケッチが好きで意欲的に取り組むようになることもあります。
スケッチで描かれた要素から、その子の理解度を計れますし、こちらが見えていないことが、スケッチとして見えてくることも往々にしてあります」
直感的にスケッチできる
Tayasui Sketches
生徒たちが使用している「Tayasui Sketches」には、鉛筆や水彩絵筆、サインペンなど10種類のブラシツールのほか、レイヤーを重ねたり文字をタイプしたりする機能もあり、スケッチをするための理想的な環境がそろっています。何より操作がわかりやすく、使っているうちに一通りの機能を扱えるようになるのが大きな魅力だと和田先生は語ります。
操作方法を教えることなく、子どもたちは「Tayasui Sketches」をすぐに使いこなしていました
和田一将
「授業を見学に来られた方から、『使い方を教えるのに時間がかかるんじゃないですか』とよく聞かれるのですが、特に操作方法などは教えてないんですよね。視覚的にツールの役割などがわかりますし、子どもたちは適応も早いですから、すぐに使いこなしていました」
文字に感情を宿らせる
レタリングとは
春先のある日、教室では各自で桜について調べたことを英語でまとめ、その中でもっとも象徴的だと思う単語を「レタリング」するという授業が行われていました。
レタリングとは、文字に様々な効果をつけてデザインする手法です。Appleがリリースした、誰もが生まれながらに持っているクリエイティビティを発揮し、自己表現するために制作されたEveryone Can Createのプロジェクトガイドでも紹介されています。文字だけでは伝わりきらない感情やメッセージを表現するために、それらをアートとして描くという、実にクリエイティブなアクティビティです。
「レタリングには、ストーリーを要約したり、それを絵で表現したりと、色々なスキルが凝縮されます。生徒が自主的に取り組み、試行錯誤する中で、すごく面白い作品が出来ました。これをやることで、生徒たちの表現力はずいぶん上がったと思います」
文字がいきいきとした感情を宿したような、カラフルかつ創意工夫に満ちたレタリングの数々。対象と向き合い、そしてまた自分の内面とも向き合うことから表現が始まるスケッチだからこそ、それぞれの個性が際立つ作品になったのです。
下記のEveryone Can Createのプロジェクトガイドでは、レタリングなどの文字を使ったアートや落書き風アート、ポートレート、そしてインフォグラフィックなど、様々なスケッチの手法が紹介されています。ぜひプロジェクトガイドをダウンロードして、ご自身で、あるいはお子さんと一緒に、スケッチに取り組んでみてください。すべての子どもたちに与えられたクリエイティビティの萌芽が、大きく花開くきっかけになるかもしれません。