もしも自分だけがこの地上に生き残ってしまったら、あなたは毎日何をして過ごすでしょう。
「おわかれのほし」の深い緑の世界で、目覚めたあなたの周りにいるのは、すべてもう亡くなってしまった“人”たちです。振り向くと、あなたを産んだ機械が、静かに佇んでいます。歩き出すと、別の亡きがらに出会います。声をかけても、戻ってくる返事はありません。だけどあなたはその人の”いたい”を借りて、中に入ることができます。
自分の頭から取り出した何かを、“いたい”の中に入れると、その人の記憶が甦ってきます。その記憶が教えてくれるのは、あなたがどうやって生まれてきたのか。あなたの誕生を待ち望み、祝福していた人たちがいたこと。そして亡きがらが生きていた頃と、それよりもずっと前の星の状態です。
あなたは、一つの亡きがらに入り、そのまま、世界を歩き回ります。どうやら今いる場所は、一つの”むら”のようです。村の外に出ていくことはできません。村の外れには、亡くなった人を弔うための場所があります。
そう、たった一人残されたあなたが、この“むら”ですべきことは、残されたすべての亡きがらを弔うことなのです。
それぞれの亡きがらは、生前にやり残した何かの記憶をその体に宿しています。そしてその記憶につながる物に出会った時、亡きがらはあなたにその思い出を語り始めます。“むら”に残された、もはや使われることのない物たちは、そこに生きた誰かの存在を唯一伝え、よみがえらせる、かけがえのない存在なのです。
誰かが亡くなってしまった時、その人の気持ちや思い出を本人から聞くことはもうできません。ですが、思い出を知る術がある限り、誰かが誰かと出会うことは、もしかしたら可能なのかもしれません。
存在が誰かの中で生き続けること、そして生と死の区切りとしての弔いの意味。「おわかれのほし」は、人を想う根源的な感情に向き合う機会を与えてくれるゲームです。