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日本中の食卓と生産者を笑顔に

食べチョク - 農家・漁師の産直ネット通販

こだわり生産者から、旬の食材を直接お取り寄せ

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Appを開くと、旬の野菜や果物をはじめ、肉、魚介類といった新鮮な食材、そして美しい観賞用の花などが並びます。食欲と好奇心をかき立てる、多種多様な商品を生産者から直接購入できるのが「食べチョク」です。

ウェブサイトでのサービス開始から約3年後にリリースされたApp版の「食べチョク」では、旬の食材をはじめ、食材を試してみたい人に向けた「お試し野菜セット」や季節の美味しさをそろえた「旬のフルーツ特選」など、見ているだけで楽しくなるような、趣向を凝らしたコースが用意されています。

また、ユーザーの好みを基に、新鮮な野菜を見繕って定期的に届けてくれる「コンシェルジュ」など、便利な機能を追加しながら生産者と消費者を架橋しています。

「食べチョク」が
大切にしていること

「食べチョク」を立ち上げたのは、株式会社ビビッドガーデンの代表をつとめる秋元里奈さんです。秋元さんの実家は、かつて神奈川県で家族経営の農家を営み、様々な農作物を生産・販売していました。

そのような生い立ちから、秋元さんが「食べチョク」を運営するにあたって大切にしていることが“生産者ファースト”です。つまり、消費者に喜ばれることはもちろん、生産者に優れた食材を継続して作ってもらうための、持続可能な対価を提供することを目指しているのです。

「生産者の価値をいかに高めていくかを考えて、そのこだわりが正当に評価されるサービスを目指しています。野菜や食材が買えるサービスは無数にあるので、このポリシーこそが私たちの存在価値です。今では、そこに共感してくださるお客さまも多いですね」

「消費者との距離が近くなることは、難しい部分もあります。『食べチョク』では自分で売り方を考えて、すべてを自分たちでコントロールしなければなりません。既存の流通に加えて販路の選択肢が一つ増えたという感じで、併用して使っている方も多いです」

「食べチョク」に
生産者が惹かれる理由

「食べチョク」に出品している生産者数は、2019年末には650軒ほどでしたが、2020年12月時点で3,000軒にまで増えています。サービス開始当初こそ苦戦したものの、一件一件、地道な訪問と対話を重ね、商品ページの作成代行や写真撮影のレクチャーなど、様々な販売支援も提供することで徐々に信頼を得てきました。「食べチョク」に出品している生産者は、秋元さんたちの想いをこのように受け止めています。

「初めてのインターネット通販で、何もかも手探りでのスタートでしたが、『食べチョク』のサポートのおかげで、売上は前年比120%を超える月もありました。スタッフのみなさんが、私たち生産者のことをいつも自分のことのように思ってくれ、一生懸命対応してくださることが、とても心強いです」(ふく成 平尾優さん、平尾有希さん/ 熊本県)

出品する生産者が声をそろえるのが、消費者の反応が直接届くことが大きな喜びであるということです。

「全国のお客さまからご意見、ご感想を聞かせていただけることがすごく楽しみです。また、しっかりしたものを生産し、販売しなければという励みにもなっています」(淡路島ほっこりファーム 堂脇潤哉さん / 兵庫県)

未曾有の変化を好機に

新型コロナウイルス感染症の拡大は、日本の第一次産業に大きな影響を与えています。販路を失った生産者から、「食べチョク」に出品したいという要望が次々と寄せられたと秋元さんは振り返ります。

「飲食店やホテル、給食向けに販売していた生産者などは、売り先がなくなり、売り上げが大きく下がったところもあります。在庫を抱えて途方に暮れている人も多く、本当に大きな影響があります」

熊本県で漁業を営むふく成の平尾さんは、窮状を以下のように話します。

「創業60年、卸売メインで販売していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で販路がストップしました。そのため全国的に養殖魚が在庫過剰となり、市場の相場価格が原価を割るほど落ちた上に、在庫分の飼育経費は増えて苦しい状態に追い込まれました。このままでは成り立たないと判断し、事業を見直し、直販の『食べチョク』に出品させていただきました」

「食べチョク」では、2020年3月から「コロナ等でお困りの生産者さん」というセクションを設け、状況を周知するとともに行き場のなくなった食材の販売をスタート。困窮する生産者をサポートしたいという想いから購入するユーザーも多いようです。

そして、秋元さんはこの市場環境や生活様式の著しい変化を、長らく大きな変化のなかった第一次産業の進化を促し、成長するための好機に変えていきたい、と言います。

「今回、新型コロナウイルス感染症の影響で、一つだけではなく、複数の販路を持つ重要性を感じられた生産者も少なくないと思います。生産者は意識を変えて、経営者として事業を考えていかなければ生き残れないかもしれません。新型コロナウイルス感染症は売り上げ減など、第一次産業にとっては短期的にネガティブな影響をもたらしていますが、生産者の意識が変わったという意味で、長期的にはポジティブな影響につながるとよいなと私は思っています」

前進を後押しする
“危機感”とは

新機能やサービスの追加、地方自治体との連携など、様々な施策を打ち出し進化している「食べチョク」。「食べチョク」を成長させようと奮闘する秋元さんの動機を探ると、その心の内に抱いている、ある“危機感”に行き着きます。

「都市化や高齢化など、様々な要因で日本の農家の窮状は加速しています。もっと『食べチョク』が世に知れわたって、出品者数や取引実績があれば、多くの農家に機会を提供できたかもしれない。特によく知っている農家さんが廃業されてしまうと、なおさら悔しいですし、焦りにつながります。もっと早く事業を成長させて、第一次産業をサポートしたいと思っています」

Appについては「消費者の安心や利便性を高めるために作りました」と語る秋元さん。

「Appだと発送などの通知が届くのが大きなメリットだと思っています。メールだと、すぐには気づかないかもしれないですよね。鮮度が重要な商品も多いですし、より便利で迅速にコミュニケーションできるのが大切だと思います。使ってくださる人の意見を取り入れながら、さらに使いやすくしていきたいです」

最後に「食べチョク」の今後について伺うと、「どんなに規模が大きくなっても、生産者の一番近くで寄り添っていたい」と、秋元さんは即答します。

「商品を売ること以外でも、『食べチョク』に頼ればなんとかなる、そんな存在になりたいです。また、生産者とお客さまがつながっていく“コミュニティ化”にも取り組んでいきたいです。例えば、初めて買い物をして、それが定期購入になって、今度は実際に会いに行くというような、生産者と消費者の距離がどんどん縮まっていく関係性を作っていきたい。当初からつながり作りをしたかったので、その準備が整って、ようやくスタートラインに立てたと思っています」

食べることは、いつの時代も私たちの大きな楽しみであり、喜びです。その源流を支える生産者と様々な食材に、「食べチョク」を通じて出会ってください。

※インタビューは2020年10月に実施しました。