インディーズ スポットライト

楽しく分かりやすく学ぶ機会を

教育コンテンツ制作をしている上で、大人になっても理解できていない問題があった時に、どうやったら学生のころの自分と、大人になった今の自分が理解できるか考えてきました

荒川晴芳さん

「わかりづらいことをたのしくわかりやすくする」ことを目指して、教育関連Appを制作しているデベロッパがミライノ制作所です。コーディングやApp Storeへの登録作業などを行う荒川晴芳さんと、パートナーでもあり、企画やデザイン、イラスト制作などを担当する、未来さんの2人で開発を行っています。

学生や、企業の従業員を対象とした教育コンテンツの受託制作を手がけるほか、App Storeで「ぐりぐり都道府県」や「ぐりぐりヨーロッパ」といった、地理の学習に役立つAppを配信しています。

元々教育コンテンツの制作会社に勤務していた荒川さんは、「特に小中学生向けのコンテンツ制作が楽しく、制作したものを使ったお客様にも喜んでいただく中で、この仕事を続けていきたいと思うようになりました」と話します。

意外と覚えていない都道府県

ミライノ制作所が開発したApp、「ぐりぐり都道府県」では、都道府県の形をしたピースを、白地図状態の日本列島にはめていくことで、パズル感覚で日本の地理が学べます。

なんとなく場所や地方は把握していても、形や正確な位置まではわからないこともある47都道府県を、ランダムで5つずつ、もしくは47個すべて、制限時間内に、日本地図の上をバーチャルパッドで動かしながら正しい場所に配置していきます。

「大人も意外と忘れている地理を、ゲームで楽しく覚え直そう」というコンセプトで生まれた「ぐりぐり都道府県」は、開発者自身が、都道府県の位置を正確には覚えていないことがあるのに気づき、楽しく学べるものがほしいという考えから開発がスタートしています。

単純に位置を覚えるだけでなく、都道府県の情報を集めて後から見返せる「図鑑ノート」や、正解するともらえるコインを使って家具や雑貨を充実させられる「しろいくまるーむ」といった仕組みも用意し、繰り返して学習し、年齢を問わず遊べるものにしたといいます。

北欧雑貨の北欧って?

第2弾として開発された「ぐりぐりヨーロッパ」は、地域をヨーロッパに移し、複数の国や地域のピースをヨーロッパの各地にはめていくことで、各地の地理を学べるAppです。

イタリアやフランス、イギリスなど、比較的よく知られている国だけでなく、ある国の中に位置する特定の場所や、大きな国と国の間に挟まれた小さな地域なども出てくるので、遊んでみると「こんな場所もあったんだ」と驚くこともあるでしょう。

集めた国のデータは、「図鑑ノート」に記録されます。ヨーロッパの国や地域それぞれの首都、面積、国旗や主要言語、通貨単位などを確認でき、英語でその国をどう書き、どう発音するかも知ることができます。

またAppを開いたときに表示されるツリーハウスでは、キャラクターのしろいくまに、ワッフルやザッハトルテなど、ヨーロッパで有名なたべものを買ってあげたり、サッカーボールやテディベアなどのアイテムを置いたりできるようになっていたりと、遊びを通して各国に興味を持ってもらえるような仕掛けも用意されています。

「北欧雑貨かわいいと言いながらも、北欧の国々の位置や広さを知らないで大人になっていることに気が付き、今から楽しく学べるものを作ろうと思った」のが開発のきっかけだったといいます。

作り手も楽しむ

教育コンテンツの開発においては、学習前と学習中の苦手意識を軽減するために、「手順や操作のわかりやすさ、見た目と学習内容の世界観、そして制作に関わる人たちが、つくる工程を楽しむこと」を大切にしているという荒川さん。

「ぐりぐり都道府県」や「ぐりぐりヨーロッパ」を実際に体験したユーザーからは、「やさしい雰囲気がいい」「BGMもおだやかであせらずできるのがよかった」「知らない国や地域がたくさんあって驚いた」といった声が寄せられているそうで、難しすぎず、けれどもしっかり学べる内容が楽しまれている様子がうかがえます。

プレイヤーを常にかわいい声で励まし、褒めてくれる、「ぐりぐり」シリーズ共通のキャラクター、しろいくまの存在も、繰り返し遊びたくなる理由の一つになっているようです。

「ぐりぐり」シリーズの今後について、具体的な計画は未定とのことでしたが、世界の地理を楽しく学べるシリーズを、さらに広げていきたい気持ちはある、と話す荒川さん。地理の知識に自信がある人も、そうでない人も、「ぐりぐり都道府県」や「ぐりぐりヨーロッパ」に挑んでみませんか。