インディーズ スポットライト

あこがれを胸に個人で開発

iPhoneが登場して、自宅でゲームを作って世界に配信できる時代になるのでは、と思い、個人開発の道へ飛び込みました

GAME START LLC、藤田武男さん

かわいらしく、親しみやすい雰囲気のピクセルアートで描かれた世界を舞台とした、ついつい遊んでみたくなるゲームを開発するGAME START。代表の藤田武男さんは、iPod touchやiPhoneの登場に、個人でゲームを開発できる時代の到来を感じ、会社勤めを辞めて、インディーズデベロッパとして活動を始めました。

ロールプレイングゲーム「ドラゴンクエスト」に強い影響を受け、ゲーム会社に就職した後、一度は別の職業に就くものの、ゲーム開発への思いを抱き続けた藤田さん。現在は、「マジョのシマ」などを手がけたデベロッパ、ココソラと共同で、1人から3人のチームでゲームを開発しています。

GAME STARTという会社名は、様々なゲームの最初の画面でよく目にする文字から取られています。その文字や言葉を見聞きするたび、「そんな名前のゲーム会社があったな」と思いだしてもらえたらうれしいと藤田さんは言います。また、現実の「会社経営ゲーム」をスタートさせる、という意気込みや、ゲームを作っている会社だと一目でわかること、覚えやすい名前であることなども考慮されている名称です。

そんなGAME STARTの作品は、どれもすてきなピクセルアートで描き出されています。

ゲーム作りの方向性を決めた作品

牧場を作り、家畜を飼って、飼料を与えて育てながら、毛や肉、タマゴなどの生産品を作り、売り上げを立てる。そんなサイクルの中で、少しずつ自分で工夫を加えていく楽しみを味わえるのが「作ろう!ミニチュア牧場」です。本作の、ピクセルアートの表現が好評だったことから、GAME STARTとしてその後リリースするゲームの方向が決定づけられたといいます。

農園や牧場を運営するゲームは、元々一定のファンがいるジャンルでしたが、その中で「やれることを限定したシンプルなシステムを目指し、1画面でできる手軽な牧場ゲームとしてリリースしました」と藤田さん。ついつい続けてしまう深さが魅力の一つです。

圧倒的なまでのかわいさを追求

世界中で好評を博した作品の一つが「柴犬のクレープ屋さん」です。キッチンカーでクレープ屋を運営しつつ、徐々に店を大きくしていく経営シミュレーションゲームですが、ピクセルアートで描かれた動物たちの愛らしさは見ているだけでも飽きません。

収穫、集客、調理の3つをうまく回しながらお店を大きくしていく中で、アルバイトの柴犬を雇うことで作業が楽になっていきます。店員に作業を続けてもらうためには、食事やお風呂などのお世話が必要ですが、そのシーンもまたかわいらしく、楽しめます。目標である世界中への出店を目指してプレイしてみてください。

本作で特に力が入っているのが、店員の着替えやお店の模様替えのかわいさです。「1ドット単位で家具の配置ができるゲームはあまりないと思いますので、その辺りのこだわりを楽しんでいただきたいです」と藤田さんは言います。

衝動から生まれたゲーム

一つの画面で冒険が完結する、気軽に探索を楽しめるゲームとして生まれた「ミニチュア無人島サバイバル」は、これまでの作品のほのぼのした感じとは少し異なり、冒険を通して道具を強化し、時に敵と戦ったりもしながら、島の中を開拓していくゲームです。

本作は、以前から開発を続けている、「日本の田舎暮らしを体験するゲーム」の制作中に、まったく違うゲームを作りたい衝動に駆られて生まれた作品でした。そのため、「短時間でリリースすることを目標に一気に創り上げました」と藤田さん。リリース後はアップデートの要望も多かったため、大切に育てていく作品になったといいます。

田舎暮らしがテーマのゲーム

それぞれのゲームに共通するのは、「楽しそう」「遊びたい」とプレイヤーが感じられること。これは藤田さんがゲームを開発する際に、常に意識していることでもあります。ピクセルアートの表現で、見てみたい、動かしてみたいと思わせることができているかも重視しています。「暇つぶしに開きたくなる」ことや、海外のプレイヤーにも楽しんでもらえるように、「言語不問・説明不要なシンプルなシステムで設計する」ことも心がけているそうです。

「ミニチュア無人島サバイバル」の紹介にもあったように、GAME STARTは今、田舎での暮らしをテーマにしたゲームを開発中です。日本のとある地域を舞台に、四季の移ろいや、初詣や夏祭りなどの古来のイベントを楽しみつつ、自然と親しみ、地域の住民とも交流する、そんな内容で作り込んでいるといいます。新作を楽しみに待ちながら、まずは上に紹介したゲームを遊んでみてください。