MEET THE DEVELOPER

子どもの知的好奇心を育むために

「Think!Think!」誕生と開発の舞台裏。

シンクシンク 知育アプリ-子供の思考力・立体図形の教育ゲーム

考える力が育つ!幼児~小学生の論理思考や子ども向け算数の勉強

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無限の可能性を秘めている子どもたち。中でも、何かに夢中になったときに生じるパワーには、目を見張るものがあります。

パズルや図形、迷路といった多彩なコンテンツを収録した「Think! Think!(シンクシンク)」は、そんな子どもたちの可能性を信じ、引き出すための実地的かつ科学的な手法を凝らして開発されています。「どうやって解くんだろう? …わかった!」という疑問と発見の体験に導き、ワクワクしながら考える力を育むための設計がなされているのです。言語にかかわらず取り組めるため、現在では世界150か国以上の子どもたちに親しまれています。

直感的に楽しめる優れたコンテンツは、どのように生み出されているのでしょうか。考案者である川島慶さん(ワンダーラボ株式会社 代表取締役)に伺いました。

楽しいコンテンツの生まれる場所

物体が壁の穴をぶつからずに通り抜けられるか考えたり、画面上のすべての電球を通って点灯させてゴールまで到達できるか試行錯誤したり——。「Think!Think!」では、そんな思考力を育むコンテンツが毎月登場し、子どもたちを飽きさせません。その開発プロセスにおいて重視しているのは、“実際の子どもたちの反応”だと川島さんは語ります。

「東京大学の学生や弊社のコンテンツクリエイターが考えた原案やコンセプトがまずあって、それを基にコンテンツディレクターとエンジニア、デザイナーというチームで開発していきます。1か月くらいで基礎を作って、実際に子どもたちに試してもらって、そのフィードバックを受けて改良して、通常3か月くらいで完成しますね。もちろん積み上げた知見もありますが、一番は子どもの反応を大事にしています」

「開発チームとしては、学生のクリエイターも含めて現在40人くらい。ゲーム業界や教育業界から来てくれた人が多くて、“世界中の子どもが本来持っている知的なわくわくを引き出す”という会社としての理念に共感してくれて集まっています。国籍的には7か国くらいで、日本語が母国語でない人もいるし、多彩なメンバーがいますね」

「Think!Think!」の原点にあるもの

「Think!Think!」のコンテンツが、言語や文化を問わず誰もが楽しめるように設計されているのには、学生時代の川島さんの体験が原点にあります。

子どもの頃から算数・数学が大好きだった川島さんは、大学時代には学習塾のアルバイトとして教材作りに熱中し、恩師である数学教師・井本陽久さんのすすめで訪れた児童養護施設の子どもたちから多くを学んだと言います。

「児童養護施設では、まず信頼関係を築くために、一緒に遊ぶところからはじめました。その後、紙で作ったパズルを提供したら、すごく楽しんでやってくれたんです。それで、パズルや迷路など、学年関係なく取り組める教材を作っていくようになりました。熱中して、ワクワクしながら取り組んでくれる姿を見て、子どもたちの力ってすごいなって。その後、井本先生のつながりで海外の孤児院ともやりとりがあって、フィリピンやカンボジアなどに呼ばれて行きました。そこでも同じような教材を喜んでもらえて、さらに言語を排除した教材を作るようになりました」

「当時、教材を従来どおり印刷して作る方法を考えていましたが、印刷機が十分にない国もあり、将来デジタルのコストがきっと安くなるという希望もありました。初めてフィリピンで活動したときに、すでに『僕はこれをデジタルにして世界中の子どもに安価で届けたいんだ!』って言っていたそうなんです。自分では忘れていたのですが(笑)。それで2014年秋にワンダーラボ株式会社を創業し、翌々年3月に『Think!Think!』をリリースしました」

最初期からユニバーサル(普遍的)であることを目指して考案された「Think!Think!」は、現在も“世界中の子どもたち”を対象に開発を続けています。

「現在でも、国内の子どもたちを対象に研究授業をやったり、カンボジアの子どもたちに使ってもらったりしています。カンボジアは、かつて長期にわたる激しい内戦の影響で学校の先生や知識人の多くがいなくなってしまった過去があります。そのような教育環境に課題のあるところでも貢献できるコンテンツになっていれば、世界中に届けられる試金石になるだろうと。カンボジアをはじめ、配信されている150か国からのフィードバックを生かして、誰もが楽しめる、そして誰かが潜在的に傷つかないようなユニバーサルなデザインにすることを心がけています」

より多くの“ワンダー”を届けるために

子どもたちの可能性をもっと育みたいという川島さんたちの想いは、新型コロナウイルス感染症が広がり始めた頃にも、「Think!Think!」の完全無償化というすばやいアクションにつながります。

「2020年2月末に全国一斉休校の要請が出た時に、期間限定での無償化を発表しました。すると、Twitterですごくリツイートされました。『休校でどうしよう……』となっていた保護者の方々が、そのアクションで元気をもらえたという反応もあって、無料期間が終わっても有料会員として使ってくれている人も多くいます」

問題を解くだけでなく、自分で問題を何十種類も作って送ってくれる子がいたり、ソーシャルネットワークでいくつもの喜びや感謝の反響が届いたりと、この施策の影響で多くのユーザーとのつながりが生まれたと川島さんは頬をゆるめます。そして、サービスの品質を高め続ける一方で、目的は最初期から変わらず、より多くの子どもたちに“ワンダー”を届けることだと語ります。

「僕らが大切にしているのは、Feel、Think、Make、つまり、感じて、考えて、作り出すということ。それにともなう知的なワクワクを“ワンダー”と呼んでいます。このワンダーを、より多くの子どもたちに届けたい。そのために『Think!Think!』のコンテンツをもっと充実させたり、あるいは別のAppやサービスも作っていきたいと思っています。子どもたちが長く、深く、楽しめるものを提供していきたいです」

※このインタビューは2021年10月に実施しました。