3月は女性史月間

NASAの壮大なアルテミス計画とは

宇宙飛行士のJessica Meirさんと「NASA’s First Woman」を体験しよう。

NASA's First Woman

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NASAの宇宙飛行士Jessica Meirさんは、1980年代に米国メイン州の田園地帯で育ちました。当時はまだ月への旅行など、とてもかないそうにない夢物語でしたが、彼女は夢見ることをやめませんでした。

「小学校1年生の頃、大人になったらなりたいものを絵に描きなさいと先生に言われました」と、Meirさんは当時を振り返ります。「私は、月面で国旗の隣に立つ宇宙服姿の自分を描きました」

それから数十年を経て、Meirさんの子ども時代の大きな夢は、あと一歩で実現しようとしています。NASAは、女性宇宙飛行士と非白人の宇宙飛行士を史上初めて月に着陸させ、人類の月面での長期滞在を成功させることを目指す、アルテミス計画に取り組んでいます。この計画に参加する数少ない宇宙飛行士の1人として、Meirさんが選ばれたのです。NASAが長い年月をかけて取り組んでいる、この計画の実現の日が待ちきれない人は、「NASA's First Woman」というAppを開いてみましょう。

自分もいつか、ロケットで月に行ってみたい。そう夢見る探究心豊かな子どもたちに向けて作られた「NASA's First Woman」では、AR(拡張現実)によって、自宅など好きな場所にいながら実際の宇宙環境の3Dモデルを探索できます。3Dモデルで再現された、アルテミス計画の中核を担う月周回有人拠点「ゲートウェイ」の内部を歩き回ったり、月面そのものを探索したりして、その雰囲気を味わいましょう。

さらに、宇宙服や巨大な打ち上げロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」など、NASAで実際に使われている装備や設備のARモデルを、間近で観察できます。各パーツをタップして、それらが宇宙で生き延びるために欠かせない理由を学びましょう。

ARの月面クレーターと月面探査車です。「ジョンソン宇宙センターには、初期に考案された月面車の試作機や、月や火星の表面を模した環境があり、私もそこで月面車を運転する機会を得ました」とMeirさんは話します。「金属を連結した車輪が使われているので、横方向に移動したり、クレーターの急斜面を降りたりできます。すばらしい車です」

さらにApp内のメニューからブラウザに遷移して、マンガ形式の読み物であるグラフィックノベル「NASA's First Woman」も楽しめます。主人公は、多様なルーツを持つ家庭に育ち、科学・技術・工学・数学に特化したSTEM教育を受けてきた、才能豊かなCallie Rodriguezです。物語では、彼女が好奇心あふれる学生から、一人前の宇宙飛行士に成長していく過程が描かれます。このグラフィックノベルはダウンロードしてiPhoneやiPadで楽しめます。

宇宙に羽ばたいていくCallieの歩みを読みながら、「NASA's First Woman」のAppでページ内のコードを読み取ると、関連するビデオを視聴したり、ARのコンテンツを体験したりできます。アルテミス計画の宇宙船のあちこちを調べて、カプセルの通信システムや換気システム、宇宙でのトイレの仕組みについて学びましょう。

月周回有人拠点の狭い空間もARで体験できます。「密室環境でもうまくやっていける人たちを選ぶようにしています」とMeirさんは言います。「2週間くらいなら、気難しい人とも何とかやっていけますが、6か月、7か月となると、対人スキルがより重要になります。NASAではこれを『expeditionary skill(遠征スキル)』という特別な名前で呼んでいます」

「NASA's First Woman」は、女性宇宙飛行士を目指す現代の子どもたちが、育ってきた環境にかかわらず、月への旅を夢見るきっかけになることを願って作られました。

「外見にせよ、出身地にせよ、何か共通点がある人物のほうが、自分と重ね合わせやすいものです」とMeirさんは言います。「それによって次世代に関心を持ってもらえるなら、とても大切なことです。すべての子どもたちにきっかけが必要なのです」

NASAが作ったAppのため、Appに登場するテクノロジーは、宇宙船オリオンの頑丈な耐熱シールドをはじめ、どれも宇宙飛行士が実際に使っているものばかりです。「耐熱シールドは宇宙船で最も重要な設備です」とMeirさんは説明します。「地球に帰還する際、大気圏に突入する時には、摩擦と猛烈な飛行速度によってカプセルが文字通り燃え上がります。その時、宇宙飛行士たちを守るのは耐熱シールドだけです」

月周回有人拠点の植生ラボの様子も見られます。「宇宙ステーションでは数種類の植物と野菜を育て、未来の持続可能な食料源の研究を行っています」とMeirさんは話します。「私が参加したミッションでは、様々な肥料の種類や光の波長を試しながら水菜を栽培していました」

「NASA's First Woman」は、数名の女性宇宙飛行士がそれぞれの人生やキャリアについて語った、NASAによるインタビューに基づいています。そのため、Callieが直面する困難の多くは、読者にとっても共感できるものになっています。Callieのように、前例のない道を歩んできた人たちにとっては、なおさらでしょう。

「NASA's First Woman」では、気さくで親切なロボットがあなたの案内役になってくれます。「地球を離れ、宇宙を探索するためには、様々なロボットの存在が絶対に欠かせません」と話すのは、NASAのロボット工学者、Zakiya Tomlinsonさんです。「ロボットはすでに低軌道での探索に大いに活躍しています。ロボットシステムがなければ、宇宙ステーションを建設することはできなかったでしょう」

「幼いCallieが気持ちを高ぶらせる様子は、私自身を見ているようで心に響きました」と、NASAで宇宙服の開発を担当するエンジニアのLindsay Aitchisonさんは語ります。「私は昔からずっとNASAで働きたいと思ってきましたが、どんな仕事に就きたいかは成長するにしたがって変わるものです。『NASA's First Woman』は、好奇心をくすぐり、様々なものを垣間見せてくれます。宇宙服にはときめかなくても、ロボットをクリックしたら『これは面白そう』と思うかもしれません。このAppは多くの子どもたちに、様々な形でひらめきを与えてくれると思います」

*「NASA's First Woman」は現在、英語でのみ提供されています。