Serif社のクリエイティブAppスイート、「Affinity Designer」「Affinity Photo」「Affinity Publisher」は、それぞれ単体でもパワフルなツールですが、緊密に連係するこれらのAppを組み合わせれば、さらに大きな力を発揮します。例えば、「Publisher」で「Photo」の画像編集機能を使いながら、ニュースレターを作成するといったこともできます。App間でアセットを移動したり、どのカスタムブラシをどこに保存するか迷ったりすることなく、創作に集中しましょう。

「Affinity」スイートのバージョン2では、App同士の連係の強化に加え、各Appに画期的な新機能が追加されています。ここでは「Affinity」Appの進化したポイントをいくつか紹介します。

スイート全体の新機能

新しくなったインターフェイスにより、3つのAppがこれまで以上に使いやすくなりました。例えば、ピクセルレイヤーの作業をしている時に、ブラシアイコンをクリックすると、そのレイヤーに使用したブラシのメニューが表示されるため、違和感のない修正を加えられます。レイヤーパネルも改良され、見分けやすいアイコンで、テキストやカーブなどのレイヤータイプを識別できます。また、改良されたドロップゾーンでは、レイヤーを別のレイヤー内で移動するといった操作が簡単に行えるようになりました。

どのAppでも、オーバーレイを含めてRAW画像を編集できます。

さらに、3つのAppのすべてでブラシやアセット、スウォッチ、スタイルが使いやすくなっています。例えば、「Affinity Photo」のカスタムブラシのカテゴリにリンクを設定すれば、スイート全体で瞬時に使用できるようになるため、「Affinity Publisher」でもそのブラシを使って画像を編集できます。

RAW画像の処理も大幅に改善されました。未編集のRAW画像をいずれかのAppで表示すれば、線形グラデーションなどのオーバーレイをはじめ、Serif社の強力な「現像ペルソナ」の多彩なツールを使って調整を加えられます。「Affinity Photo」に戻る必要はありません。

達人のコツ:「Publisher」と「Designer」のドキュメントにRAW画像を埋め込む代わりにファイルをリンクすれば、ファイルサイズを小さくできます。しかも、「現像」ツールを使って、それぞれのApp内で画像を編集できます。

「Affinity Photo」の新機能

RAW画像に関する改良はこれだけではありません。「Affinity Photo」ではライブの「現像」レイヤーで、元の画像を維持したままRAW画像を編集できるようになりました。調整を適用してピクセルレイヤーに変換する代わりに、必要に応じて「現像」の設定を変更するだけで、リアルタイムでその結果を確認できます。

ライブマスク(Live Mask)機能ではさまざまな色を選択でき、例えば赤いチューリップを黄色に変えるのも簡単です。

「Photo」ではマスクを複合的に適用できるようになりました。追加、除外、交差、排他的論理和(XOR)のオプションを使って、元の画像を破壊することなく、それぞれのマスクレイヤーが相互に作用します。新しいライブマスク機能は、色や明度などに基づいて対象の領域を分離し、正確な調整ができるようにします。また、本の表紙などのテンプレートの形に合わせて画像を変形できるメッシュワープ処理を、ライブレイヤーに変えることもできます。既存のメッシュを維持しながら画像を修正したり入れ替えたりできるため、モックアップの作成が驚くほど簡単になります。

「Affinity Designer」の新機能

最新の「Affinity Designer」では、ベクターオブジェクトの作成や編集をすばやく行う方法がより充実しました。ナイフツールなら、どんなシェイプやテキスト、カーブも切り抜けます。また新しいシェイプ形成(Shape Builder)ツールを重なり合ったシェイプの集合に適用すれば、セグメントごとにシェイプを追加したり削除したりできます。

X-Rayモードでは、複雑な構成のデザインを扱いやすいワイヤーフレームビューとして表示します。

ポイントやパスの複雑な操作には、新しいベクターワープ(Vector Warp)を使いましょう。ライブメッシュを非破壊的に適用して、膨大な数のシェイプで構成されたどんな複雑なアートワークも変形できます。また、新しいX-Rayビューモードでは、色の背景情報付きのワイヤーフレームを表示できるため、編集したいパスを簡単に絞り込めます。

「Affinity Publisher」の新機能

これらすべてをまとめ上げるのがパブリッシングですが、「Affinity Publihser」では、複数の「Publisher」のプロジェクトで構成される書籍など、大型のプロジェクトを処理するスピードが大幅にアップしました。こうした本の作成では、Appが書式やページ番号を統一し、さらに全体の目次や索引まで出力します。

「注記(Notes)」ツールを使えば、レイアウトはそのままに脚注を追加できます。

新しい「フォーマットドロッパー(Format Dropper)」を使えば、統一感のあるページを簡単に作れます。テキストやオブジェクトのスタイルを選び、そのスタイルを別のテキストやオブジェクトの上にドロップしましょう。また、「注記(Notes)」ツールで、脚注や巻末注、傍注を本文のセクションに簡単に追加し、その周囲にテキストを適切に流し込めます。レイアウトを変更したりオブジェクトを追加したりしても、注は正しいページに表示されます。