インディーズ スポットライト

小さな世界の楽しさをゲームで再現

CRAZY TRAINS

ランアクションゲーム

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小さい頃に、ジオラマやミニチュア作品を見て感じた、小さな世界のワクワク感を再現したいと考え、ボクセルという表現手段を選択しました

おれんじりりぃさん


App Storeでは、個人で、あるいは少人数で、ゲームやアプリを開発する数々のインディーズデベロッパが活躍しています。「ボクセル」と「フィクション」というテーマを中心に据えてゲームを開発しているりりぃカンパニーのおれんじりりぃさんも、そんなインディーズデベロッパの一人です。おれんじりりぃさんに、ゲーム開発への想いを聞きました。

自分の思い描いたゲームを作るために

おれんじりりぃさんは元々、スマートフォン向けのゲームを作る会社に新卒で就職し、プログラマーとしてゲーム制作に携わっていました。そんな中、インディーズデベロッパとしてゲームを創り始めたのには、理由がありました。

「大きなチームでゲームを作ると、どうしても開発を担当する部分は一部の機能に留まるため、“自分が作った”という感覚が弱かったのです。自分の思い描いたゲームを一本作ってみたいと考えたのが、個人開発の出発点です」

自身のスキルの中では、デザインの分野に弱みがあると感じていたおれんじりりぃさんは、同じ職場で知り合ったやまたくさんにデザイン、モデリング、アニメーション制作で協力を仰ぎ、ゲーム開発に乗り出しました。

最初は、Unityを使って1週間でゲームを作るというイベント「Unity 1週間ゲームジャム」に作品を投稿することが目標だったそうです。その時から、やまたくさんと組んでゲームを制作しています。

現在は、ブロックのように立方体を組み合わせてものを表現する「ボクセル」のグラフィックと、現実世界では起こり得ない「フィクション」の世界観をテーマにゲーム開発を進めているおれんじりりぃさん。その理由をこう話します。

「小さい頃からジオラマやミニチュア作品を見るのが好きでした。商業施設に飾ってあるようなジオラマや模型を眺めて、小さい空間に色々なものが詰め込まれて一つの小さな世界が出来ていることにワクワクを感じていました。ゲーム開発に取り組むに当たって、あの頃に感じたワクワク感を再現することをテーマにしようと考えたのです。

あえて作り物でありミニチュアであることを強調するために、ボクセルという表現手段を選択しました。さらにボクセルで作った世界観の中に、豚が転がったり電車が飛んだり、現実世界ではありえないことを組み合わせていくことで、面白い絵や体験になると思っています」

絵本の世界を走り抜ける


りりぃカンパニーとしての最初の作品は、シンプルなランゲーム「CRAZY PANCAKE」です。トラが走り回り、バターやパンケーキが飛び交うフィールドを、四輪駆動車で走り抜けます。真上からの視点でプレイするスタイルで、左右のボタンで車を操作しますが、急ハンドルは切れないのでタイミングを考える必要があります。


本作の企画は、おれんじりりぃさんが小さい頃に親しんだ絵本の思い出が元になっていて、誰でも楽しめるゲームを目指し開発したといいます。ゲームジャムの締め切りがあったので、「まずはゲームとして成立していることと、リリースすることを意識して開発しました」といいます。

欧州の街並みを疾走


2作目となる「CRAZY DONUTS」では、グラフィック面をより進化させることを目指したといいます。ブタが飛び交い、マンホールから飛び出すモグラや道路を横切る電車などをよけながら、ドーナツを集め街中を疾走します。


前作からカメラの角度を変更し、より立体的な視点にすることで、ミニチュアの中に入り込むような体験を目指しているとおれんじりりぃさん。「実際のヨーロッパの街並みを参考に、建物などのステージの作り込みを行いました。街中をブタがぼんぼん跳ねるという、実際には起こり得ない状況を盛り込むことで、見た目的な面白さも表現しています」

機関車で古代遺跡を走る


3作目の「CRAZY TRAINS」では、古代遺跡ツアーをテーマにしたフィールドで、機関車をゴールまで導きます。走行するコースが道路から線路に変わり、コース変更がスワイプ操作になったことで、さらなる疾走感を楽しめます。


本作では、CRAZYシリーズの集大成として、ゲームとしての面白さを追求したというおれんじりりぃさん。「古代遺跡というテーマで環境ステージを作り込み、テーマパークのアトラクションのようなドキドキ感、ワクワク感を目指しています」

定期的に作品を届ける

りりぃカンパニーとしてのゲーム開発で、おれんじりりぃさんが心がけているのが、数か月に1回程度はユーザーに作品を届けることだといいます。

「やりたいことを全部含めようとすると無限に開発時間がかかってしまうので、どこかで見切りをつけてユーザーの皆さんの反応を踏まえつつ修正を行い、次回作に反省点を活かす、という開発スタイルにしています」

また、できるだけ多くの人に遊んでもらえるように、ゲーム内の文字は最小限に抑え、手軽に楽しんでもらえるよう、複雑な操作は避け、直感的に遊べ、チュートリアルも長くならないように意識しているそうです。

今後は、ランゲームからは一旦離れ、別ジャンルのゲーム制作をいくつか予定しているというおれんじりりぃさん。ボクセルとフィクションというテーマからはブレずに、新しい挑戦を続けるおれんじりりぃさんの作品をぜひ楽しんでください。