インディーズ スポットライト

箱庭の中に創り出すパズル

BlockMeister

ブロック削りピクセルアートパズル

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作りたいゲームでモチベーションを上げ、売れるゲームで開発費を貯め、話題になるゲームで認知度を上げています

べすとまんさん

App Storeでは、個人で、あるいは少人数で、ゲームやアプリを開発する数々のインディーズデベロッパが活躍しています。べすとまんさんも、その一人です。「Block Meister」「わんおぺ寿司」「円卓マスター」など、多様なゲームを創り続けるべすとまんさんに、ゲーム開発への想いを聞きました。

9歳の頃にゲーム開発に興味を持ち、それ以来ゲームを作り続けているというべすとまんさん。当時遊んでいたパーティーゲームの中に含まれていたミニゲームを、自分でアレンジしてみたいと思ったことがきっかけで、ゲーム制作への道を歩み始めたそうです。今ではゲーム制作会社で、仕事でゲームの開発に関わりながら、趣味でもゲームを作っています。

インディーズデベロッパとして制作するゲームは、個人で開発するものと、グループで開発するものがあるというべすとまんさん。グループで開発する時は、ゲームシステムを作るエンジニア、キャラクターや背景を描くイラストレーター、それ以外を担当するべすとまんさんという体制で、3人で役割を分担しているそうです。

べすとまんさんが手がけたゲームには、様々なパズルゲームがあります。

爆破して作るピクセルアート

「BlockMeister」は、爆弾を使ってパズルの一部を爆破し、落下したブロックがお題にぴったりはめられると、ピクセルアートが浮かび上がるパズルゲームです。爆弾はブロックを壊せる向きが決まっているうえ、空いたスペースには上からつながったブロックが落ちてくるため、どの形のパーツをどの順番でどのように削り取るかを熟考する必要がありますが、うまくいった時の爽快感は格別です。

べすとまんさんによると、本作は「パズルをクリアした時に、より多くの達成感を得られるように」と考え生まれたそうです。クリアした時に絵が完成し、一斉に着色される演出で達成感を盛り上げているほか、パズルを解く中で破壊されたブロックの破片が、フィールド上に一定時間残ることで、クリアした際に試行錯誤のあとが可視化され、正解にたどり着けた達成感を押し上げているといいます。

一人で対応する回転寿司

回転寿司店を一人で経営することになり、60秒間に次々と入る注文に対し、短時間で正確に寿司を届けることを目指す「わんおぺ寿司」。お店の評価を上げて客足を増やし、高得点を目指すだけでなく、日本の都道府県をモチーフにした様々な店舗で、ご当地ならではの寿司ネタを提供するなど、やり込むことでより深く楽しめる要素も組み込まれています。

「日本そのものをゲームのギミックとして取り入れてみたい」という考えから生まれた本作。日本の伝統的な文化や世界観をそのままゲームの舞台として使うのではなく、飛び交う注文に対して的確に寿司を提供する回転寿司文化をゲームシステムに、日本各地の観光地要素をおもしろおかしくステージギミックに組み込んだといいます。

回転台を操作して配膳

「円卓マスター」では、中華料理店などで見かける、円形のテーブルに配置された回転する台を動かして、席に着いている人たちの皿の上に料理を届けます。力任せに回すと料理は飛び散ってしまうので、料理が全員に行き渡るよう、左右への回転を適宜切り替えつつ、ほどよい力加減で台を動かすのについ熱中してしまうでしょう。

本作では、「現実世界ではやってはいけないけど、やってみたいこと」を詰め込んでみたとべすとまんさんは話します。「中央に回転する台のある円卓で食事をした際、『思いっきり回したら一体どうなるのか』と思ったことがある人もいるのではないでしょうか。そんな好奇心をアクションパズルに落とし込みました」

箱庭パズルの魅力

パズルゲームを作るのが得意だというべすとまんさんは、先に紹介した作品の他にも、自身が「箱庭パズル」と呼ぶ、限られたサイズのステージの中で楽しめるパズルを定期的に開発しています。線路の上を走る複数の機関車が、衝突しないように進行方向をタッチで操作する「ニワテツ」や、立体的なステージの上を、キャラクターを操作して星のかけらを集める「ナユタとほうき星の旅」は、ぜひプレイしてほしい作品だといいます。

「『箱庭パズル』は、範囲の決められた箱庭の中で、どれだけパズル要素を組み込めるか?という挑戦から生まれました。このゲームに登場するステージはすべてほぼ同じサイズの箱庭です。操作方法はシンプルにしつつ、決められた箱庭内にさまざまなギミックを入れて本格的なパズルゲームに仕上げています」

作りたいものが売れて話題になるように

ゲームを開発する上でべすとまんさんが心がけているのが、「作りたいゲーム」「売れるゲーム」「話題になるゲーム」の3つの軸でゲームを開発するこだといいます。

「『作りたいゲーム』は、自分が作りたい世界をそのまま形にするゲームです。自己満足のようなものですが、どんなゲームにも必ずファンになってくれる方がいます。

一方『売れるゲーム』は、有料での配信や広告収入が期待できるゲームです。市場調査をし、ユーザーのニーズを把握する必要などもあり、自分の作りたい要素を入れるだけでは完成しないのが難しいところです」

「そして『話題になるゲーム』は、いわゆる"バズる”ゲームのことです。個人開発や小規模開発の場合、どうしても大がかりな広告を打つといったことはできません。しかし今日では、ゲーム実況者の目に止まったり、Twitterのトレンドに入ったりすることで、ゲームをより多くの人に知ってもらうことができます。

これら3つ、それぞれに特化したタイトルを開発することで、作りたいゲームでモチベーションを上げ、売れるゲームで開発費を貯め、話題になるゲームで認知度を上げています」

「最終的には3つの軸すべてが重なるゲームを開発することが目標」だというべすとまんさんは、現在異なるルール同士で対戦可能な異種パズル対戦ゲームを、チームで開発中とのことです。べすとまんさんが生み出す様々な形のパズルを、ぜひ堪能してみてください。