Citizen of Rome 12+

シンプルだが手堅く纏まった古代ローマの一族経営ゲーム

何日かプレイした感想になります。下記の内容やゲームの理解などに間違いがあったら申し訳ありません。
本作はアニメーションのない一枚絵と選択肢、それに多少の文章とBGMで構成されたとてもシンプルなゲームです。
まず通常の難易度は割と高めで、油断すると何もできないまま一族が没落します。日本語化もされていないので、英語が解らないまま適当に進めると壊滅の憂き目に遭うでしょう。

ただ本作は直感的に分かりやすいイラストやアイコンで、イベントやステータスの詳細・傾向が把握しやすくなっており、
またゲーム開始時に選べるイージーモードは、有効化すると難易度詐欺上等な洋ゲーにしては珍しく本当に簡単になります。
恐らく英語がほとんど解らない状態でも、時間やお金の浪費などよほど悪手を連発しない限りはトントン拍子に上手くいくでしょう。
英語がよく解らなくても、選択の結果で資金や資産が増えるものを選ぶだけで割と上手くいくかと思います。
更にサンドボックスは資金が無限でやりたい放題できるため、これらのモードで「どの選択肢を選べば良い結果になるか」と言う練習に最適です。
その上、通常モードで没落して奴隷になっても一族が滅亡して二度と成り上がれない訳ではないため、慣れれば気軽にプレイできます。

舞台は恐らく共和制後期〜末期のローマが元ネタで、基本的なゲームの流れとしては、「お金を稼ぎそれを投資して、一族の資産やキャリアを形成し、お金や名誉・名声を集め資産総額や社会的地位を高めて確固たるものにする」と言うものです。
システム面も単純明快で「売買する資産を選ぶ」「月日を進めると発生するイベントに対応する」「キャラクターの就学・就職・結婚やそれ纏わる選択を行う」などの選択肢の組み合わせでゲームが進行します。
また一族の人々はやがて寿命で永眠し、その度に世代交代と遺産の分割相続が行われ資産も目減りするので、資産は細やかに管理する必要に駆られます。
その代わり、家族にきちんと教育を施せば高給を稼ぎますし、そうすれば世代交代で別れても後々に大きな遺産を手にすることができるので無駄にはなりません。

ただし教育費は固定なため逆進性であり、初期で貧しいほど教育が家計の負担になるので、優秀な後継ぎにのみ高等教育を施すなど、取捨選択を迫られることもあるでしょう。
逆に課税は累進性で、一族の人数や資産価値が増すほど高くなりますが、これは確固たる資産を気付くと収入で容易く相殺できるため、むしろ成り上がり途中の半端な小金持ちの時期が一番辛くなります。
課税や教育費などで資金がマイナスになったままだと、強制的に資産を売却する羽目になってしまい、キープしたい資産を失う危険性もあるため、自分で資産を選んで現金化する操作も求められます。
ゲームとしてはこの一族の発展途上が時期が最も忙しく不安定で大変ですが、最も刺激的なプレイを楽しめるタイミングでもあるかもしれません。

個人的に残念なのは、古代ローマお馴染みの要素である「奴隷」や「剣闘士」などが前面に出ないところでしょうか。
資産にも奴隷・剣闘士など売買や運用はなく、その育成による奴隷・剣闘士の資産価値の向上による経営・利殖なども出来ません。
あくまで直系の一族と、その人々が管理する資産にしか投資ができず、他人や親戚はもちろんのこと、迎えた嫁や婿も成人後の再教育は原則不可能です。
また管理できる資産も一族の人数で変動してしまうので、資産運用が上手くいってお金が余ると使い道があまり無くなるのも悲しいところ。
誇り高き正統なるローマ市民の誉れたる戦争時の出征も、戦場での行動自体は多少選択できますが、それだけで立身出世はできない上に死ぬことさえあり、
華々しい戦果で稼いだお金も戦時の増税でむしろマイナスになるため、辛いことの方が多いです。いっそ英雄的な活躍でスポリア・オピーマに顕彰されたり、建国して皇帝一族になれたりしないでしょうか。

とまあ色々と注文を付けはしましたが、システムが単純なためゲーム自体も単調になりかねないきらいはあれど、標準だと難易度が高めで税金やランダムイベントに手を焼かされるため、中々の歯応えに仕上がっています。
またアチーブメントを網羅するには没落しての奴隷化や戦争での活躍なども必要で、安定させるのは容易い人でも極めるのは一筋縄ではいかないでしょう。
更に一族の能力を高めるのも難しく、両親の頭脳・体力・特性などをそのまま引き継ぐ訳ではないため、拘ると果てがありません。
イラストや選択肢を増やせばゲーム性の拡張も可能だと思われ、同じシステムを流用した別時代が舞台のゲームも作れそうな雛型が出来上がっているため、
今後のアップデートや新作にも期待できるゲームであり、総合的に見てとても満足です。これからも長らく楽しませて頂こうと思います。