MEET THE CREATOR

フラットな東京での奥行きのあるスケッチ

北斎に影響を受けたAdrian Hogan。奥行きを感じる彼のスケッチはこう生まれる。

Procreate

スケッチ・ペイント・クリエイト

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日本でよく目にする手描きスタイルのイラストレーションがきっかけで、オーストラリアはメルボルンから日本に移住することを決めたイラストレーター、Adrian Hoganさん。彼は「手描きイラストレーション」を自身のスタイルとしています。

Adrian Hoganさん。2021年3月、都内某所にて。

「日本に来てすぐの頃、日本の街、特に東京はすごくフラットだな、と感じました」

と話すHoganさん。その理由を聞くと、

「東京には多くの高層ビルが建ち並び、街の中にいるとそれらに囲まれます。そのことから、奥行きが感じにくく、フラットに見えるんです」

と言うのです。目印となるランドマークを見つけにくいことから、よく道に迷ったHoganさんは、街の至る所をスケッチに残し、少しずつ視覚的に街を覚えていきました。

「スケッチする時は、まず『Procreate』でラフスケッチを描き、そしてアウトライン、色、と重ねていきます」

彼がスケッチをする時の多くは「Procreate」、そしてiPad ProとApple Pencilを使います。

“フラット”な東京の中で描かれる彼のスケッチの中では、しっかりとその奥行きが表現されています。彼の作品の中の奥行きは、実はあるアーティストの影響を受けていました。

「日本に来てから、葛飾北斎の影響をそれまで以上に受けることになりました。もちろん、日本に来る前から、彼や彼の作品について知っていましたが、日本に引っ越してきてから、彼の作品の構図や構成を、さらにリスペクトできるようになりました」

北斎の手法に影響されたというHoganさん。それはどういうことなのでしょうか。

江戸時代に、西洋で発案された透視図法が日本で広まりました。透視図法とは遠近法のひとつで、視点を固定し、その場所から見えるそれぞれのものまでの距離感を、見たままに平面に表現する方法です。これは、距離に応じた図法なので、距離が遠くなれば遠くなるほど、ある一点にすべてが集まります。この点は消失点と呼ばれます。

北斎は描きたいものの構図によっては、忠実に透視図法に準じるのではなく、一つの消失点であるはずのところを二点にすることが多くありました。Hoganさんは、北斎の「消失点が一つでない透視図法」に影響を受けたと言います。

“Springtime in Nakameguro, April 2021” - Adrian Hogan

手描きスタイルが自身のアーティスト性に直結している彼だけに、スケッチブックとペンで描いているように感じられる制作環境づくりは必要不可欠です。「Procreate」、さらにiPad ProとApple Pencilの組み合わせがそれを可能にしてくれると話します。

「『Procreate』は直感的に使えるので気に入ってます。複雑なメニューもないので、積極的にいろいろ試せる。紙のスケッチブックにペンで描くような感覚が好きなので、iPad Proに紙の質感が得られるフィルムを貼っています」

「『Procreate』には、すでに多くのブラシが用意されていますが、自分のオリジナルブラシを作成することもできます。細かく設定して、より手描きの質感を出せるブラシを作れるのです」

アーティストの数だけ、ブラシの数があると言っても過言ではありません。このブラシを作成できる機能が、Hoganさんの手描きスタイルを支えているのです。「Procreate」で上部にある「ブラシのライブラリ」の中の「+」をタップすると、新しいブラシを作成できます。新しく作るブラシは「ブラシスタジオ」で細かく設定できます。

奥行きのあるスケッチ。彼は、何気ない普段の情景からストーリーを見出します。

来日のきっかけとなったHoganさんの手描きスタイルのイラストレーションと、来日したことでさらに意味が増した葛飾北斎の手法。彼に起こった出来事や発見は、起こるべくして起こったのでしょう。

今日も彼は、“フラット”な東京のどこかで、奥行きのあるスケッチを描くべく、ペンを走らせているのです。

彼のスタイルと来日後の話を聞いたストーリーはこちらからどうぞ。作品からあふれるストーリー性は、どのように生まれているのでしょうか。

「Procreate」はiPadで利用できます。iPhoneでは「Procreate Pocket」が利用可能です。