日本から世界へ

ポケモンたちと歩き続ける冒険の道

世界中で愛されている人気ゲームの中には、日本で生まれたものがたくさんあります。はじめからゲーム作品として誕生したものや、マンガやアニメーションなどの原作からゲームになったものがあり、1990年代以降、世界中に広がって、あらゆる世代に愛されてきました。

「日本から世界へ」のシリーズでは、世界中で長く愛されている作品の歴史や、そこに登場する魅力的なキャラクターを紹介していきます。今日のストーリーは、様々なポケモンたちと出会い、共に冒険する「ポケットモンスター」シリーズの進化の歴史を振り返りながら、その魅力を紹介します。

1996年2月27日、任天堂のポータブルゲーム機、ゲームボーイ向けのゲームとして、「ポケットモンスター 赤・緑」が日本で発売されました。それから四半世紀以上が過ぎた今も、「ポケットモンスター」は変わらず進化し続けています。この25年間で、ポケモンは800種類以上が発見され、今では生活の中で様々な形で出会うことができる、身近な存在になっています。

むしとりしょうねんが生んだポケモン

「ポケットモンスター」シリーズは、現在も同作の開発を手がける株式会社ゲームフリークにおいて、代表取締役でゲームクリエイターの田尻智さんが、小学生の頃に親しんだ昆虫採集の体験を元に考案したのが始まりです。

日本の小学生がかつて、珍しい昆虫を捕まえたり、捕まえた昆虫を友達と交換したりしていた楽しみを、ゲームで再現できたら面白いのではないか。そう考えた田尻さんが企画を任天堂に持ち込んだのは、1990年のことでした。

約6年の歳月を経て発売された「ポケットモンスター 赤・緑」は、友達や家族など、他のプレイヤーと一緒に楽しめるゲームだったこともあり、多くの人たちの心を捉えます。

「ポケットモンスター 赤」と「ポケットモンスター 緑」に登場するポケモンは、それぞれ出現しやすさが異なり、どちらか一方にしか登場しないポケモンもいました。そして「ポケットモンスター 赤」と「ポケットモンスター 緑」は、通信ケーブルをつないで通信が可能で、他のプレイヤーと、捕まえたポケモンを交換することができました。

カントー地方を舞台に、151種類のポケモンと出会う冒険の旅に、人々は熱中します。

アニメで人気になったピカチュウ

1997年4月には、テレビアニメ「ポケットモンスター」の放送が始まり、小さい子どもや、ゲームをやらない人たち、あるいはゲームをプレイできない人たちにも、ポケモンの人気は広がっていきます。

ちなみに「ポケットモンスター 赤・緑」で、プレイヤーが最初にパートナーとして選ぶポケモンは、フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメのいずれか1匹でしたが、テレビアニメで、主人公サトシのパートナーになったのはピカチュウでした。

ゲームをプレイしている視聴者にとって、最初に選ぶ3匹のどれかがサトシのパートナーになってしまうと、その1匹を選ばなかった視聴者との間にギャップが生まれてしまうため、ゲームでは最初に選ぶことができないポケモンにすることになったといいます。

ゲームの中のピカチュウは、スタート地点のマサラタウンを出て、最初に立ち寄るトキワシティの少し先にある、トキワのもりで捕まえられる、珍しいポケモンでした。アニメ制作前から人気の兆しがあったことから、サトシのパートナーに選ばれました。

今や「ポケモン」といえばピカチュウを思い描く人も多いほど、よく知られたポケモンですが、25年前はあくまでも151種類のポケモンのうちの1匹でした。アニメとともに、ピカチュウは世界中で知られる存在となったのです。

アニメーションが
一足先に世界へと進出

ゲームからテレビアニメへと広がった「ポケモン」は、さらに人々に愛される存在になっていきました。1998年には映画「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」も公開され、以降日本では映画も毎年公開されています。

海外では、ゲームよりも先にアニメが放送された地域も多く、ポケモンのゲームはアニメの世界をより深く体験してもらうものとして受け入れられました。

北米とオーストラリアでは1998年に、ヨーロッパでは1999年に「Pokémon Red / Blue」が発売されています。

ゲームボーイ向け「ポケットモンスター 赤・緑」のポケモン図鑑に載っていたピカチュウは、今とは雰囲気が少し違っていました。

世界中で「ポケモン」が愛されるようになった理由の一つには、ポケモンたちの名前の魅力もあったかもしれません。

ポケモンの名前は、元になる日本語の名前の音を分解すると、そのポケモンの特徴が伝わってきたり、また同時に音の響き自体も日本語として面白いものになっていたりします。日本語の単語を組み合わせていたり、擬音語をうまく使ってそのポケモンの特徴を表現していたりします。こうした名前は、日本語以外の言語で翻訳された時に、その言語でも、それぞれのポケモンの特徴が伝わったり、また韻を踏んだ表現になったりするよう、工夫して翻訳されています。

例えばフシギダネは、不思議な種を背負っているので、日本語ではフシギダネという名前になっています。英語ではBulbasaur(バルバザー)というのですが、これは、英語で種を意味する “Bulb" と、恐竜を表す “Saurus" をかけ合わせたような名前になっています。実際に英語を母語とする人たちが、Bulbasaurという響きから「ツボミを背負ったトカゲや両生類をイメージする」と感じたため、名前として採用されたそうです。

へびポケモンのアーボは、英語ではEkans(イーカンス)です。Ekansを逆から読むと、「Snake(英語でへび)」になっています。アーボの進化形、アーボックは、強力な毒を持つヘビであるコブラの英語のスペル「Cobra」を逆から読んだ時の音になっているのも面白い点です。

2020年3月末の時点で、テレビアニメの放送実績があるのは、176の国と地域にのぼります。また「ポケットモンスター ソード・シールド」や「Pokémon Masters EX」は9言語に対応し、「Pokémon GO」は10言語、ポケモンカードゲームは11言語に対応してリリースされています。

iPhoneやiPadでもポケモンと遊べる

iPhoneやiPadでも、ポケモンたちと出会い、遊ぶことができます。

「Pokémon GO」では、自分自身がポケモントレーナーとなって、「ポケットモンスター」の世界を体験できます。現実の世界と同じ地図上に出現する、様々なポケモンを探して街を歩き、モンスターボールを投げてポケモンを捕まえられるのは、ゲームやテレビアニメで描かれたトレーナーそのものといっても過言ではありません。友達とのポケモン交換や、他のトレーナーとのポケモンバトルなども楽しめます。

また「Pokémon Masters EX」では、「ポケットモンスター」シリーズで、越えなければならない壁としてプレイヤーの前に立ちはだかったジムリーダーや四天王、チャンピオン、さらには主人公たちまでもが、それぞれのパートナーポケモンとバディーズとなって、一緒にチームで闘ってくれる新たなバトルが行われています。懐かしいキャラクターや、かつての自分の分身だったキャラクターとも再会できるでしょう。

「Pokémon Café Mix」のように、新たな世界観でポケモンとの日常を楽しめるゲームや、子どもたちの歯みがきの習慣化をサポートする「ポケモンスマイル」のような、冒険とはまた違う形でポケモンと出会えるタイトルもあります。

これまでに「Pokémon GO」やゲーム機の「ポケットモンスター」シリーズの作品でつかまえたポケモンを、預けたり、交換したりできる「Pokémon HOME」のような便利なAppも登場しています。

いつでも身近に存在するポケモン

ポケモンが世界中で愛されるようになった裏には、多くのファンがいることはもちろんですが、ポケモンが様々なジャンルで展開されていることが大きいといえます。

ポケモンに関連する様々なゲームやAppが楽しめるだけでなく、ポケモンのオフィシャルショップとして、ゲームの中の施設と同じ名前の「ポケモンセンター」という店舗があり、グッズや衣料、食料品のパッケージにいたるまで、多様な形でポケモンに触れる機会もあります。

世界中に生息するポケモンたちと一緒に、毎日を冒険しましょう。

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