舞台裏

Fate/Grand Orderの
未来とは

シナリオライター奈須きのこ
インタビュー、後編。

Fate/Grand Order

ゲーム

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ロールプレイングゲーム「Fate/Grand Order」(以下「FGO」)の魅力は、500万字を超えるボリュームで描かれてきた物語にあります。その舞台は、何者かに歴史が書き換えられたことで、人類の絶滅が決まった地球。主人公であるあなたは、人類史を再び正しい姿に戻すために、人類絶滅の原因となってしまった特異点を修復する旅に向かうことになります。

奈須きのこさんは「FGO」のシナリオライターで、ゲームの総監修を務めてきた作家です。主人公のあなたがマスターとなり、アーサー王やジャンヌ・ダルクといった歴史上の人物を英霊(サーヴァント)として召喚して戦うという世界設定。そして、個性豊かな英霊たちが背負う数奇な物語。奈須さんが生み出してきた「FGO」の物語は、どこへ向かうのでしょうか。

第1部の最後をリアルタイムで味わった人は、10年後や20年後でも忘れないだろう。そんなエンディングを作り上げました

奈須きのこさん

「FGO」のメインストーリーは、2016年12月に第1部が完結しました。当時のプレイヤーを驚かせたのは、それまでの最新シナリオをクリアしていたプレイヤーだけに、イベントの参加資格が限られていたことでした。

その内容は、2016年が終わる前に敵を倒して、2017年以降の人類を救うというもの。実際の暦とゲーム内の時間を同調させた設定に、参加したプレイヤーの一体感は非常に大きかったはず、と奈須さんは話します。

「FGO」に登場する英霊たちは、それぞれの物語や使命を抱いて主人公の前に現れます。

「それまで約1年間、プレイヤーにゲームの中で旅をしてもらって、その自分たちの手で、物語に一度お別れをしてもらったんです。これをリアルタイムで味わった人は、きっと10年後や20年後でも忘れないだろう……。そんな願いをこめて作り上げたエンディングですが、プレイヤーの皆さんとDELiGHTWORKSスタッフのみなさんの熱意のおかげで、想像していた以上の『おしまい』を迎えられたと思います」

「とはいえ、『FGO』のメインストーリーは企画の段階で第2部まで含めていたものなので、もう一度この『おしまい』を迎えなくてはいけません。第1部と同じくらいの盛り上がりを再び提供できるかという点では、とてもプレッシャーを感じています」

結局は、自分が青臭く信じているものが「Fate」の中にあるんだと思います。そこを理解してもらえるのはうれしいです

奈須きのこさん

今も多くのプレイヤーが「FGO」をプレイし続け、奈須さんの描く新たなシナリオを待ち続ける理由は何でしょうか。ストーリーを読んでいくと気づくことの一つは、どの場面やキャラクターを描くときでも、そこに共通のメッセージがあることです。

「FGO」の物語は、時に絶望的な未来の姿を描きますが、主人公たちはそれと対峙する事で『これまで』と『これから』を再認識し、未来に対するポジティブな視点を持つように成長します。英霊には悲劇的な運命を持つものも登場しますが、主人公や他の英霊との触れ合いの中で、憎んでいた過去に折り合いをつけ、前向きな影響を得たりもするのです。奈須さんは、それこそが自分の書き手としての価値観であり、「Fate」らしさだと語ります。

「結局は、奈須きのこが青臭く信じているものが、『Fate』の中にあるんだと思います。そこを理解してもらえるのは、自分としても大変うれしいです。自分だけの思想で書きあげる小説と違い、『Fate』はゲームですから。できるだけポジティブな、プレイした後に気持ちが上向きになるものを作りたいと、ずっと思っていました」

「今のプレイヤーが読んで面白いと思うもの、気持ち良いものを、常に提供してきたつもりです。それは『物事がこうなったらいいよね』、『人生をこう生きられたらいいよね』といったメッセージを、プレイヤーに語りかけることだと思います。それがプレイヤーの人生において、いつか、本当にどんな場面でもいいのでふわっとした指針になってくれるのなら、最後まで頑張る価値はあるだろう、と」

第2部に突入したストーリーは、さらに新たな展開を見せています。

もし、数年後も「FGO」のシナリオを書き続けているとしたら、奈須さんが目指すものは何なのでしょうか。そのやりがいとビジョンについて、彼はこう言います。

「『FGO』はスマートフォン向けゲームなので、定期的に一つのイベントを作って、すぐにダイレクトな反応が返ってきます。作るのは大変ですが、プレイヤーの成長と自分の成長が一緒に感じられて、抜きつ抜かれつのデッドヒートが楽しいんです」

「ただ、デッドヒートなので、全体のスピードがどんどん上がっていきます(笑)。それでもプレイヤーは付いてきてくれているので、最後までデッドヒートのまま、ゴールまで行ってみたいです」

※インタビューは2018年に実施しました。

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