はじめよう

マンガ家になろう

夢は言葉にすることから始まる

心を揺さぶるマンガを描いて、感動の涙や抱腹絶倒の笑いの渦に読者を溺れさせたい。そんな崇高な志を胸に秘めてはいませんか。想像してみてください。世界中にいる未来の読者が、あなたの才能を探している、と。さあ、始めましょう。全世界が感動する名作は、あなたがマンガ家になる、と決めるところから生まれるのです。

思いは言葉にすることから始まります。「マンガ家におれはなる!!!!」と海に向かって大声で叫ぶもよし、学校で拾った黒いノートに書き出すもよし。とりあえず、マンガ家になるという夢を自分に宣言しましょう。まだ見ぬ未来の読者を喜ばせることを想像して、自分の中にある「描こう!」という気持ちを感じたら、次は描くための道具をそろえましょう。

紙とGペン、に限らず、令和の時代にはマンガを描くための素晴らしいツールがたくさんあります。道具は友だちです。App Storeにあるデジタルツールは、あなたの創作の心強いパートナーとなってくれます。

キャラクターと物語の設計

物語を作る時は、どこから始めたらいいのでしょうか。書き方に決まりはありませんし、マンガ家の数だけ、始め方があることでしょう。ですが、連載マンガのように数話以上の話を作る時には、思いつきと勢いだけでは途中で息切れして、ネタ切れになったり、話が途中で破綻してしまったりしかねません。創作においては、最終的に形になって読者の元に届くのは、氷山の一角。名作を生み出してきた先人たちの活動を見てみれば、たいてい完成した作品のその下には、それをはるかに凌ぐ量の創作が埋もれているものです。

スケールの大きな物語を作る時に大事なことは、情報収集と整理整頓です。キャラクターと物語の大筋の2つを考える必要があります。キャラクターを設計する時には、性格や属性、背景、他のキャラクターとの関係性など、考えることが様々あります。物語の設計においては、時系列の整理が肝心です。

「Nola」は、キャラクターごとの設定やプロットを記入するのに特化したメモアプリです。

「Nola」というメモアプリは、キャラクターごとの設定やプロットを記入するのに特化したレイアウトデザインや機能を持っています。大作になると、登場キャラクターも多くなりがちで、それぞれの動きを時系列で把握するのは、中々に困難なものです。それゆえ、物語が進むうちに、キャラクターの性格や行動に矛盾が生じてしまう、といった事態も起こりがちです。言動に一貫性があるかないかはキャラクターのリアリティに大きく影響します。時系列に矛盾があれば、例えばミステリー作品であれば、それだけで物語が破綻してしまいます。無意識に矛盾した表現をしてしまうのを避ける意味でも、頭の中だけでなく、実際に書き出しておくのがおすすめです。

採集と観察

マンガは文字だけでなく、それと絵が一体となって物語を伝えます。そこが他の表現手法とマンガの大きな違いです。マンガは小説に比べると、1ページあたりの文字量が少ない傾向があります。文字をふき出しに入れて、絵とともに表現するため、セリフを短く凝縮させる必要があるのです。短くても大きな感動が生まれるのは、キャラクターの動きや表情が、セリフと同時に語りかけるからです。

さらにマンガでは、背景や効果線の表現も重要な要素です。デジタルのマンガではカラー作品も多いため、色による効果もまた、ドラマを伝えるための大事な演出要素になります。例えば、高校3年生の夏、最後の試合のにじんでるけど澄み切った青空や、大人になって再会した2人が眺める紅葉は、どんな色がふさわしいか。その色選びにもマンガ家の個性が現れます。

「Adobe Capture」では、iPhoneやiPadのカメラ越しにかざして撮影した対象の色を読み取って、CMYKやRGBの数値を表示してくれたり、使いたい色をカラーパレットに集めて、それを共同作業する相手と共有したりもできます。夏の日の青空の色合いや、秋の紅葉の複雑な陰影など、実際に目の前の景色を撮影して、自らの表現のパレットに色彩を加えていきましょう。

絵で語るには、絵の表現力は欠かせません。躍動感のある動きや説得力のある表情を描きたい時は、人物にその仕草をさせている筋肉についての知識を深めると、表現の参考になるといいます。実際、ルネサンスの巨匠、レオナルド・ダ・ヴィンチも人体解剖に立ち会って、スケッチを重ねて腕を磨いたそうです。21世紀の今日では、「Human Anatomy Atlas 2024」というアプリがあり、3D画像で人体の骨や臓器、筋肉について知ることができます。

「Human Anatomy Atlas 2024」では、人体の骨や臓器、筋肉を3D画像で観察できます。

一筆入魂

マンガは読むのは一瞬ですが、作るにはいくつもの作業工程があります。物語のプロットやキャラクターを作ることに始まり、セリフを考えて、シーンをコマ割りで表現していきます。特にコマ割りには、その人のリズムが出ます。頭の中で、プロットのどのシーンを切り取って、どういう順序やサイズでコマとして並べていくか。そこにマンガ家の作家性が現れるといっても過言ではありません。

読み手が引き込まれるコマ割りのリズムを取得するのは、簡単なことではありませんが、他の多くのことと共通して、上手い人から学ぶことは効果的な学習方法です。

「ジャンプPAINT by MediBang」では、歴代のジャンプ作品を見本にして、マンガの作画練習ができます。

「ジャンプPAINT by MediBang」では、歴代のジャンプ作品を見本にして、マンガの作画練習ができる機能が用意されています。名作のシーンを元に、ベタ塗りなどの練習ができます。ジャンプ編集部による、マンガの描き方のテクニックが学べる講座もアプリ内に用意されています。

最後は勇気

どんな名作もそれが他の人の目に触れなければ、誰のことも感動させずに消えてしまうことになります。描き上げた作品は、実はそこが完成ではなくて、人に読まれてはじめて作品として、人生のスタートラインに立ちます。

週刊少年ジャンプから生まれたデジタルの場で、「SPY×FAMILY」や「怪獣8号」などのオリジナルマンガを多数掲載している「少年ジャンプ+」では、「少年ジャンプ+漫画賞」が用意されていて、定期的に応募作を募集しています。

夢中で描き上げた作品でも、いざ賞に応募するとなると、不安な気持ちになることもあるかもしれません。もっとよく仕上げてからにしようと、ためらう気持ちが出てきたとしても、最後は踏み出す勇気です。投稿フォームのボタンをポチっと押して、次のステージへ進みましょう。

人生で経験できる夏は、多くても100数回程度。その中の貴重なひと夏を、思いっきりマンガ制作に充ててみたら、きっとそれ自体が熱い夏の思い出の一つになるはずです。

マンガ制作をサポートしてくれるツール

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