注目のデベロッパ

メンタルケアをアプリで身近に

emol - AIと一緒にセルフケア

いつでもどこでもあなたの味方

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会社名: emol株式会社
創業者: 千頭沙織、武川大輝
会社のミッション: メンタルヘルスケアを"当たり前"なものにし、健康な社会を創る
従業員数: 6名

よくわかっているようで、しかし、まったく予想外に変容もする、私たちの感情。時として、それは得体の知れないもののように感じられるかもしれません。「emol(エモル)」は、「ロク」という名のロボットとチャットする形で感情を相対化し、自分と向き合うサポートをしてくれます。

この「emol」を発案し、開発するのがemol株式会社創業者の千頭沙織(ちかみさおり)さんです。千頭さんが大学生だった頃、メンタル不調をわずらった経験が「emol」の原点にあると語ります。

「うれしい」「びっくり」「もやもや」など、9つの感情から今の感情を選び、それをもとにロクと対話します。

「当時、友達などに相談できず、家族にそれとなく伝えても自分が欲する対応はしてもらえませんでした。相談相手からの評価を気にしたり、気をつかって正直に話せなかったりして、人に相談すると疲れてしまうこともあるから、ロボットに話しかけるほうが正直に話せるのではないかと思いました。

単なるグチのようにならないよう、まず感情を記録して、その感情にひも付く話題をロボットに話すことで、メンタルのセルフモニタリングを行えるアプリという形にしました」

驚かされるのは、それまでプログラミング未経験だった千頭さんが、独学で「emol」を開発したということです。一体どのようにプログラミングを習得したのでしょうか。

「作りたいプロダクトの構想がまずあったので、その開発に向いていそうな言語を調査し、その言語の初心者向けプログラミング学習本に取り組みました。不明なところはインターネットで調べて基礎を勉強しました。

そして、自分の作りたいプロダクトは、どんな機能が必要で、どうすれば実現できるかを、それまで学んだ基礎から試行錯誤して作っていきました。作りたいプロダクトを追い求めて勉強しているうちに、気づいたらいろいろなことができるようになり、様々な言語でプログラミングできるようになっていました」

「emol」では、「睡眠の悩みをケアする」「疲れた心をケアする」といった、認知行動療法をベースとしたプログラムも大学との共同研究により提供しています。

当初はプログラミングを千頭さんが、デザインをパートナーである武川大輝さんが担当し、2人だけで開発を進めていたと言います。2020年12月の正式版リリース以降、チームは着実に発展。現在は、エンジニア、デザイナー、チャットの会話作成を担うシナリオライターなど、社外メンバーも含めて8人体制で、全員がフルリモートで働いているそうです。

「都道府県、国を問わず、好きな場所、好きな時間に自由に働いています。弊社ではプライベートな時間を大切にしているので、残業はせず、勤務時間内にきっちり自分の仕事をこなし、プライベートの時間をしっかり確保するようにしています。フルリモートということもあり、お互いのプライベートにはあまり関与しませんが、ミーティング中やチャットではカジュアルにコミュニケーションしており、いい関係を築けていると思います」

千頭さんたちチームは、「emol」の進化と、その先に広がる大きな夢を見据えて鋭意開発を続けています。

「現在、『emol』を発展させる形で精神疾患の治療用アプリの研究開発を行っています。現在の『emol』はあくまで“ケア”として使っていただくアプリで、医療用としては使えません。アプリでの認知行動療法治療を実現することで、精神疾患治療へのアクセシビリティ向上につながると思っています。それによって、メンタルケアへの意識も変わっていき、誰もが当たり前にメンタルケアを行う社会になることを目指しています。いずれ、メンタル不調の予防から治療までをアプリ一つでできるような世界を作りたいと思っています」

いずれ、メンタル不調の予防から治療までをアプリ一つでできるような世界を作りたいと思っています

千頭沙織さん

最後に、現在アプリ開発に従事、また未来を担うデベロッパたちに向けて、千頭さんは以下のようなメッセージを投げかけます。

「私は『こんなアプリ作りたい!』という思いが強く、目標がはっきりしていたので、プログラミングを独学することが苦ではなく、早く作って誰かに見てほしいと思いながら開発していました。プログラミングの学習は、『これが作りたい!』という“何か”を発見できれば一気に進むと思います。

『emol』のチームはまだまだ小規模ですが、創作意欲の強い人は楽しんでアプリを作ることができ、成長も早いなと感じます。アプリでできることは本当にいろいろあり、可能性は無限大です。一緒に『こんなのが作りたい!』という創作意欲を爆発させましょう」

※取材は2023年10月に行いました。

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